白髪少女のトリップ記 (ページ45)

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お見舞いページ45

「ジリアンのお見舞いに行かせて下さいまし。」

夕食を終えるとおもむろにノエルが口を開いた。
理由を聞くと、巻き込んでしまったお詫びをしたいそうだ。

「じゃあ、今から行く？」

「行くなら今だな。夜の方が目立たない。」

「そうだね。」

そう言うと月明かりの中私達は街に繰り出した。
屋根を歩き身を隠しながら病院に向かう。ただ夜もだいぶ更けているのでそこまで時間はかからなかったが。

「どうやって入るんですの？」

「あ、やっぱ考えてなかった感じ？まあでも大丈夫。ここについた瞬間に入り方決めたから。」

見聞色の覇気で病院関係者がどこにいるかは把握したし、匂いからジリアンの病室も把握済みだ。
というわけでこの一瞬の間に人がほぼほぼおらず、
かつ近道を発見してしまったのだ。
ジリアンの病室から一番近い木に登るとルームで病院内に侵入。中から鍵を開けるとアイコンタクトでカロンにノエルを連れてきてもらう。
…カロンが鎖で一本釣りをしてたのは見なかったことにしよう。
さて、見回りは…右回りでこっち向かってきてるね。
同じ方向に歩き一度誰もいなくなった受付に身をひそめる。少しすると見回りが歩いてきた。…二人？
どうやら別の場所を見回っていた人と合流したらしい。ラッキーと思いながら覇王色の覇気でいっぺんに気絶させる。

「とーちゃく。早く済ませてね。
いつ気付くかわかんないし。」

「分かってますわ。」

ノエルがジリアン(昏睡中)に向かって話し始めたのを確認するとずっと気になってたことをカロンに聞いた。

「ところでさっきから何を悩んでるの？」

「気づいてたのか。」

そう言うと一呼吸おいて

「ノエルの魔人名についてだ。」

と言った。なるほどね。そういえばノエルって3つも契約してるんだもんなぁとしみじみと思う。

「何かいい案はあるか？」

「そうだねー。」

うーん。まったくもって思いつかない。
ていうか、もともとネーミングセンスがないからしょうがない。
魔人名(として名乗った名前)はいつぞや海軍が勝手に異名として発表したやつだし。
少しして私が死亡した(ことになった)から立ち消えになったけど。

「…被虐。」

「ん？」

「ノエルの魔人名だ。」

被虐…。被虐のノエル、か。

「すごくいいと思う。
ノエルの生き様にぴったりだよ。」

そう言うとカロンは満足げに笑った。
…いや、笑ったのかな？
表情読み取り辛いんだよな。真っ黒だから。