白髪少女のトリップ記 (ページ43)

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海牢石ってこんななんだねページ43

「海牢石っていう海の成分を含んだ石なんだけど能力者、簡単に言うと悪魔と契約した人の事、が触れると力が抜けちゃうんだ。まあ、見た方が早いか。」

そう言いながら袋から取り出す。次の瞬間、力が抜けて立てなくなった私は床に膝をついた。

「「A⁉」」

「あー、大丈夫。」

ちょっとこれ持ってて、と手錠を渡すと力がもとに戻る。こんな感じなんだね、海牢石の手錠って。
初めて知った。

「今ので、二つの事がわかったよね？」

「ああ。」

「何なんですの？」

「一つ、市長側は私を生け捕りにしようとしている。もう一つ、トリップしてきた人は前の世界ですでに私の事を知っている。」

「もっと言えばお前もわかってるんだろ。」

「そうだね。」

次会った時には決着を付けないと。

「わたくしにもわかるように説明して下さいまし！」

「じゃあ、まずボマーは何で海牢石を持っていたと思う？」

「市長からもらった…？」

「何で市長は持ってたんだと思う？」

「それは…トリップしてきた方が持っていたのではなくて？」

「正解。じゃあ何でそいつは市長に手錠を渡した？能力者じゃなければ…もっと言えばこっちの世界からトリップしてきた人じゃなければ普通の手錠でいいのに。」

「それは…Aがトリップしてきた能力者だという事を知っていたから…！」

「その通り。じゃあ次に何でボマーに手錠を渡したと思う？邪魔なら始末すればいいのに。」

「強いことがわかっていたから殺すのは無理だと思ったから？」

「強ち殺すより捕まえる方が難しいんだよ。だから元々生け捕りのつもりだったんだと思う。
それに自分で言うのもどうかと思うけど1度味方に付ければ千人力だからね。他に質問ある？」

「あいつっていうのは誰だ？」

「あいつ…？」

私あいつなんて言ったっけ？

「覚えてないのか？」

覚えて…覚えて…は！まさかあの時！

「もしかして暴走してる時喋った？」

「ああ。」

「なら本能じゃない。もっとタチの悪いやつだ。」

「タチの悪いやつって一体なんなんですの？」

嫌な汗が流れ目もちかちかする。
そしてフラッシュバックする血塗れの光景。

「詳しくはまだ話せない。ただ私の裏の人格ってことだけは言っておく。他は気持ちの整理がついたら話す。」

私は少し重くなった空気を戻すように
「他に質問ある？」と聞いた。

「いや、もう終わりだ。」