白髪少女のトリップ記 (ページ42)

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はい、今一世一代のピンチです（嘘）ページ42

「さぁ。」

「「すべて話してもらいますわよ/うぞ。」」

怖い。ノエルとカロンが怖いよ。
拠点に帰ってきてそうそうこれはひどい。

「話すから威圧かけるのやめて。お願いだから。」

泣くよ。メンタル崩壊するよ。

「とにかく早く話せ。」

「あい。」

なんか扱い酷い。

「まず、カロンは知ってるけど私はこの世界の住人じゃない。」

「ど、どういう事ですの?」

「ノエルが契約したあの日にトリップしてきたんだよ。」

「そ、そうなんですの。」

ノエルがすでにキャパ越えしそうになってる…。
分かるけど、もうちょっと耐えて。
まだ本題じゃないから。

「それとこれがどう繋がるのだ。」

「私のいた世界にはいろんな種族がいた。
巨人族とか魚人族とかね。
その中で、私の種族は世界最強の戦闘民族と呼ばれる種族だった。それが人狼族。
人狼族は戦闘に特化した種族で一週間に何度かは戦わないと自身の血の中に眠る本能が暴走する。
それがあの状態。
酷いと戻ってこれずに死ぬまで虐殺を続ける。
過去には国一つを滅ぼしたという話も残ってる。
だから私たちは日々の実践的な修行で本能が目覚めるのを抑えているの。トリップする直前も戦ってたんだけど…多分トリップしたときに時間のずれが起きて体は一週間以上の過ごしてしまったんだと思う。」

「「…。」」

え、無言？ま、気持ちはわかる、気持ちはわかるよ。でもさ…無言はつらい。
せっかくカミングアウトしたんだよ？
貶すでも何でもいいからさ、なんか反応して。

「…なるほどな…。」

「何か質問ある？」

「…ボマーは何でお前の名前を知ってたんだ？」

「知らない…と言いたいところだけど知ってる。
おそらく…いや確実にこの世界には私と同じ世界からトリップしてきた人がいる。」

「「⁉」」

「しかも市長側にね。」

「…いつから気づいてた？」

「最初は市長官邸に忍び込んだ時。
うっすらとにおいが残ってたからね。
確信したのはボマーの懐からこれが見つかった時。」

そう言いながら巾着袋を渡す。

「これは…？」

中に入ってるのは海牢石の手錠。
ボマーの治療をしたときにくすねてきたのだ。

「石の手錠…ですの？」

「初めて見るな。」

「治療したときにくすねてきた。
ついでに言うとその石、ただの石じゃないんだよね。」

ハテナマークを浮かべている二人に巾着袋ごと貸してと言う。そしてソファから立った。