Actress. XI

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｢(藤さん、ゴリッゴリに嘘ついてます)｣

｢(それは嘘です)｣








相手が勝手に市役所勤務かどうかを聞いたことを利用し巧みに警察官であることを隠す藤

やけに手馴れている気がするのは気のせいだ

合コンに慣れていない川合と新谷はじっと顔を見合わせると流れるように頼もしすぎる藤の横顔を見つめた

もう百戦錬磨の戦の達人のように見えて仕方がない

一方隣の男たちは……









｢そうなの？俺たちは町山署の刑事で｣

｢えっ！刑事さんなの？すご〜い｣

｢山田くん、この間の事件なんだっけ？｣

｢あれですか？あのテロリスト的なやつですか？｣

｢そう、奴らのアジトに飛び込んで20人は制圧した｣

｢ドラマみたーい！｣

｢かっこいい〜！｣

｢いや、普通ですよ｣

｢よくあることです、バンバン｣









めちゃくちゃ調子に乗っていた

警察官であることを隠している3人とは違い

こちらはゴリゴリに警察官であることを隠さずそれどころか刑事であることもバラしている

間違ったことは言っていない、確かに彼らは正真正銘の町山署所属の刑事だ

しかし……









｢(いえ、コイツらは普段コソ泥を追いかけてます)｣

｢(自分の業務どんだけ盛ってんの)｣

｢(藤さんならまだしも源先輩が20人も制圧出来るわけありません)｣








業務は盛りに盛っている

テロリストなんで相手にしたことはないし

アジトに乗り込んで20人制圧したことなんてあるわけもなく

藤、川合、新谷は思わず仏のような顔でツッコミを入れた








｢(ていうかずっと流してたけど新谷さんこの場にいて大丈夫なのかな)｣

｢(警察関係者以外の男性陣にあまり耐性がないとか言ってたし、まず絶対山田さんのこと好きなのに)｣

｢(よりにもよってその山田さんが何故か隣で合コンしてるって何？生き地獄？山田さんも山田さんだよ)｣








更には新谷と山田のことを心配する川合

山田が新谷のことを好いているのは周知の事実であるが

川合も藤も新谷も新谷で山田のことを好いているんじゃないかと思い始めていたところだった

それなのに今この有様だ

今回の合コンもついてきてくれたのが謎のレベルで新谷の好みは山田に一致しているし、話すことも何かと山田のこと

これで何もない方がおかしいだろう









｢(山田さん、新谷さんに一途だと思ってたのに……)｣

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