Actress. XI

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同僚が隣の部屋にいたと知ったらもう気が散ってしまってそれどころじゃない

となればどちらかが帰れという労いの皮を被った遠回しの追い出しに







｢そもそもね、聖子ちゃん結婚向いてないから！今すぐ目標をお嫁さんから署長に切り替えろ｣

｢ならないよ署長｣







どちらかが先に幸せを掴むのが許せないのか

それとももっとほかに意味があるのか

とにかく帰らせたい藤と源

源に至ってはそこそこ失礼なことを言っているが藤もここでいい負けするような人ではない









｢アンタだって仕事ばっかりで家庭を持っても家族幸せにできんの？｣

｢………ちょっと待って、言ってることがお互い様すぎる｣

｢言っても言われても血だらけになるね｣







藤の会心の一撃と自分で言った言葉がそのまま自分に返ってきてることに気がついたのか急に冷静さを取り戻した源

同じ警察官で同じく多忙を極める者

言えば言うほど巡り巡って最終的に自分にも刺さるというわけだ









｢とにかく！今日だけは邪魔しないで、今夜の相手……看護師さんだから｣

｢だから？｣

｢看護師さんだよ！？警察官にとってお嫁さんにしたい職業ナンバーワンの看護師さんだよ！？｣









気を取り直して再び合コンの話に戻ったかと思えば今度は藤が思わず本気でドン引きするほど

看護師について熱く語り始めた源

出会いに夢を見すぎてとうとうおかしくなってしまったのか？と思ってしまうほど

看護師に対する希望と熱の持ちようが凄まじい









｢理由その1、普段ゴリラに囲まれてる俺たちにとって癒し系職業は憧れ｣

｢理由その2、あの服装ってなんかテンション上がる｣

｢理由その3、我々移動の多い警察官にとって医療系の資格を持ってる奥さんは共働きを期待できる｣








とうとう誰も聞いてもいないのに理由を淡々と勝手に語り出した源

特にその1その2は個人的願望がすぎるし、警察官である立場は全くもって関係ない

源の下心が丸出しの理由なのが酷い









｢その3だけすごく現実的だね｣

｢とにかく！人生最高の当たり合コンだ、絶対邪魔しないでね｣

｢そっちこそ邪魔したら消す、社会的に｣

｢何それ怖っ｣







なんてことない顔で話を聞いていた藤だが

彼女もまたこの合コンに全てを賭けていた

もし邪魔するようならその時は源も山田も何らかの理由をつけて社会的に消す

相手はスーパーエリートの藤だ、冗談が本気に聞こえてしまう

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