三度の飯より君が好き【宮治】

18 ページ20

.







角名 ｢あれ治もう帰るの？｣


治 ｢おん、ちょっとな｣









あれから2日後の水曜日。

いつものように、この日は早く部室を出ようとした。









銀島 ｢この前言うとったパン屋さんか｣


治 ｢そうそう｣








みんな俺が早く帰りたがる理由に納得したから、特に詮索されることもない。

これで俺もコソコソせんでええから楽や。









それに、今週は2回も美味いパン食べれるとかラッキー。

今日は遅いから七瀬とも帰れるし。

部活終わりの疲れた体は美味いもんを欲しがって、腹がぐぅとなった。






治 ｢ほなまた明日｣

銀島 ｢おう｣

角名 ｢ばいばーい｣




エナメルバッグを肩からさげてドアを開け、1人外に出る。









.









_____________否、外に出たのは2人やった。









.









.









治 ｢..............ツム？
お前は銀らと帰るんやろ、待っといたりや｣




侑 ｢いや。俺も行く｣




治 ｢はあ？｣




突然何を言い出すかと思えば。






治 ｢お前そんなわざわざ遠いとこ行ってまでパン食いたいほど好きちゃうやろ｣


侑 ｢......今めちゃくちゃパン食いたい気分やねん｣


治 ｢絶対うそや｣


侑 ｢なんでもええやろ！とにかく今日俺は着いてくからな！｣







なんでこいつ、急に駄々こね出すん。

ガキか。






せっかく俺が七瀬とゆっくり喋れる場所を邪魔されるとかごめんや。

ましてツムとか1番めんどい。







治 ｢俺は1人でゆっくり食いたいねん｣


侑 ｢1人も2人も一緒やろ！毎日同じ家で飯食うとるやんけ！｣


治 ｢それとこれとはちゃうんや！｣





なかなか引き下がらんツムと部室前でぎゃーぎゃー言い争ってたら、なんやなんやとバレー部の面々が顔を覗かせた。

相変わらず角名は楽しそうに動画を撮ってる。






そんで、その後ろからは北さんが鋭い眼光を飛ばしてきてた。









北 ｢お前ら、いま夜なん分かってるよな。
大声で騒いだら近所迷惑やろ。
帰るんやったらはよ帰り｣





侑/治 ｢.......っす｣









半ば強制的に学校を追い出されたからとりあえずツムと2人で駅まで行って、俺は何も言わんと、家に帰るのとは逆方向のホームに向かう。


後ろを振り返ると、ツムも無言で俺の後をついてきた。





ここまで来たら何言うても無駄なことぐらい、16年一緒に過ごしてきてわかってる。









.









治 ｢はあ.......もうええわ。勝手にせえ｣

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す