・ ページ29
.
『なあ、角名』
ゆっくり歩きながら、隣を見ずに口を開いた。
『あのさ』
「.......ごめん、まって」
.
「え?」
決死の覚悟は無常にも遮られた。
「それ以上言ったらだめ。絶対だめだから」
隣を歩く角名の足が止まる。
.
『.......今、うちが何言おうとしたか分かってんの?』
そう聞くと、無言で頷く。
『え、じゃあなんであかんの.......?』
「そ、それは」
たぶん角名はうちが告白しようとしてんの分かってる。
それは間違いない。
それならあかんってどういうことや。
うちのこと好きじゃないってか。
そんなん、
『あんだけ思わせぶりな事しといて、それはないやろ.......』
絞り出した声が震えた。
怖くて角名の顔が見られへん。
そこから何も言われへんくて、じっとうつむいてたら
右手に熱を感じた。
.
『.......何やってんの』
「握ってる」
『そうじゃなくて』
熱を感じたのは、ぎゅっと右手が握られてたから。
思わず顔を上げると、夕日のせいか少しだけ赤い角名の顔。
.
「これは、俺から言うって決めてんの」
角名はじっと目を見てくる。
目をそらせない。
心臓がうるさい。
握られてる手が熱い。
.
.
「今まで思わせぶりなことばっか言ったけど、全部ほんと。
ほんとに須磨が好きだよ。
だから、俺と付き合って欲しい。」
.
.
『.........ヒヤヒヤさせんとって、ほんま』
右手を握る大きな手を、ぎゅっと握り返す。
『うちも。
うちも、角名のことがずっと好きやった。
こんなので良ければよろしくして欲しいです』
1038人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たーたー - すなくんとLINEしたすぎる……。この作品を読むとき、にやけがとまりません!めっちゃおもしろいです! (2022年7月3日 12時) (レス) @page28 id: d565dd2c8b (このIDを非表示/違反報告)
Sky0822(プロフ) - ニヤニヤして読んでたら親にすごく引かれたんですけどどうしてくれるんですk((殴【訳:最高でした、ありがとうございます_:(´ཀ`」 ∠):】 (2022年5月14日 10時) (レス) @page32 id: 241f327a08 (このIDを非表示/違反報告)
細目センター分けこそ正義 - やったー記念すべき500票目!こんな自粛生活送ってみたかった…好き…… (2021年1月30日 20時) (レス) id: 70495ac713 (このIDを非表示/違反報告)
いおり - ハァっ………好きぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! (2020年12月9日 16時) (レス) id: 5e524467c0 (このIDを非表示/違反報告)
うみね(プロフ) - 初めまして、おすすめに出てきて一気読みしてしまいました…!古き高校時代のキュンキュンを追体験できた気分で、とてもにやにやしています。素敵な作品ありがとうございます! (2020年6月13日 1時) (レス) id: 73373523e6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紗乃みこ | 作成日時:2020年5月4日 11時