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『最後の決断』
大袈裟に言っているようにも聞こえる言葉。
けど、やっと私の中に戻ってきた『緊張感』。
黒「いいか。
抗がん剤を投与するかしないかで、お前の今後が大きく変わってくる。
俺は、命を守るためにも投与を勧めるけど
副作用は辛いもんだ。
それが嫌ならやめてもいい。
それがお前の意思なら俺は反対しねぇから」
医者らしく、淡々と告げた黒尾。
しかし、冷静に見える黒尾からも少しの緊迫が伝わってくる。
副作用の辛さを受けずに命を捨てるか____
辛い思いを散々しても命を守るか____
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「投与する以外に、何があるんですか」
黒「...よく言った」
黒尾は静かに笑って、私の頭に手を乗せた。
そして優しく撫でてくれた。
黒「ぜってー治してやるから安心してろ」
「約束ね」
そう言って、私は黒尾にデコピンをお見舞いした。
黒「いてぇっ! 何すんだよ!」
「なんとなく」
なんとなく
少しふざける事で
不安がかき消される気がしたから。
黒「不安だろ」
「...うん」
普通に返事しようとしても
少し声が震えた。
やっぱり怖いのかな。
自分でもよく分からない。
黒「何かあったらすぐ言えよ。
これでもちゃんとしたお前の担当医だからな」
再び優しく頭を撫でてくれた黒尾。
その温かさのおかげで少し気が楽になった。
「...ありがと黒尾」
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その日の夜から
私の体内に抗がん剤が流れ始めた。
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うーめん - うーん…菅さんの【べ】の使い方が違う様な… (2016年8月20日 11時) (レス) id: a5b5230f90 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - 山口忠、出していただけると嬉しいです!ご検討、お願いします! (2016年7月24日 18時) (レス) id: 31f7b8a22b (このIDを非表示/違反報告)
夜雹 - 赤葦…ドンマイ☆((( (2016年2月10日 17時) (レス) id: 3fa1f6b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 影山出していただけないでしょうか! (2015年12月24日 2時) (レス) id: 53309a7c20 (このIDを非表示/違反報告)
紗英(プロフ) - 美夢さん» 切なくなってましたか? それなら嬉しいです。ありがとうございます。 (2015年12月4日 19時) (レス) id: 364178176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗乃みこ | 作成日時:2015年11月7日 15時