57 緊張 ページ28
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____え?
待て待て。頭がついて行かんよ。
「え...と。
腫瘍の進行が早いから、私が倒れたりしたんだよね?」
黒「あぁ、そーだ」
「じゃあ抗がん剤は、早めに投与した方がいいの?」
少し控えめな質問に、肩を震わした黒尾。
黒「.....怖いか?」
「ん。まーね」
だって、吐き気が続くんだよね。
いつかは分からないけど髪だって抜けるんでしょ。
いくら何でも怖いよ。
黒「まぁ、今日の今日に投与ってわけじゃねーから安心しろ。
ちゃんと改めて検査してからだし。
ま、それまでに心の準備を整えといてもらわなくちゃ困るけどな」
フッと微笑んだ黒尾は、ポンポンと私の頭を撫でてくれた。
『大丈夫だよ』と子供をあやすように。
その暖かい手はどこか安心できた。
黒「___ま、俺が言いたかったのはそんぐらいだ。
後で検査についての詳細を渡すから読んどけよ」
それだけ言って、黒尾は病室を出ていった。
研「...なんか俺空気だった」
「あ、なんかゴメン」
研「...別にいいけど」
1人黙っているのが寂しかったのか、少しふてくされた顔をしてそっぽを向く研磨さん。
うん、可愛い。小動物か。
可愛すぎる研磨さんを眺めながらボーッとしてたら、ふと思った。
「(黒尾、"検査"って言ったよね。
それって前と同じような事だよね)」
...って事はつまり......
「我の身が危険にさらされるではないかぁぁぁぁっっ!!!」
研「ビクッ)) ど、どうしたの、急に」
「けけけ研磨しゃん!!
どーしよっ!
私、今度こそ心臓が爆発する!!!」
研「うん。とりあえず奇声発するのやめようか」
私をなだめ、落ち着かせる研磨さん。
今度は小動物じゃなくて親ネコに見えてきた。
.
それより、マジでピンチじゃん。
またアノ危険人物たちに会わなきゃいけないのかな。
あぁ、思い出しただけでも鳥肌が立つ。
とゆーか心臓に悪い。
その日の就寝前、私は手を合わせて祈った。
某レントゲン技師と、内科医と、心電図検査の医師の顔を思い浮かべて。
___どうか安全な検査が受けられますように
と。
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うーめん - うーん…菅さんの【べ】の使い方が違う様な… (2016年8月20日 11時) (レス) id: a5b5230f90 (このIDを非表示/違反報告)
ミサキ - 山口忠、出していただけると嬉しいです!ご検討、お願いします! (2016年7月24日 18時) (レス) id: 31f7b8a22b (このIDを非表示/違反報告)
夜雹 - 赤葦…ドンマイ☆((( (2016年2月10日 17時) (レス) id: 3fa1f6b3c6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆい - 影山出していただけないでしょうか! (2015年12月24日 2時) (レス) id: 53309a7c20 (このIDを非表示/違反報告)
紗英(プロフ) - 美夢さん» 切なくなってましたか? それなら嬉しいです。ありがとうございます。 (2015年12月4日 19時) (レス) id: 364178176a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:紗乃みこ | 作成日時:2015年11月7日 15時