117 不安定 ページ3
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─────気が付いたら、手に暖かさを感じて目が覚めた。
目に映ったのは、見慣れた病室の天井。
そして私の右手には細くて白い手が添えられていた。
研磨「･･････A、大丈夫？」
「･･･研磨さん」
不安げに見つめてくる研磨さんに、私はぎこちなく笑った。
────って、そういえば私･･･。
「･････････っ！」
さっきまでの事を思い出して、また息が荒くなる。
･･･髪が、私の髪が･･････。
研磨「･･･A。
慌てないで、ゆっくり息して」
「っ･･･で、でも！」
研磨「もうすぐクロが来るから、大丈夫」
研磨さんに背中を摩ってもらって、呼吸は何とか整ったけど、さっきの光景が脳裏に浮かんで離れない。
掌を埋め尽くす黒い髪を思い出すと、生理的な涙が溢れてきた。
────これも抗がん剤の副作用。
────病気を治すためには必要な事。
心のどこかではそれを分かってはいながらも、全部は受け止めきれない。
怖い。
辛い。
苦しい。
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研磨「A、涙拭いて」
ポロポロと涙を零す私の目元に、研磨さんは柔らかいハンカチを当てて、優しく手を握ってくれた。
暖かい人の体温を感じると、少しだけどこんがらがった感情が解けていく気がした。
そしてちょっと穏やかになってきたその時、
病室の扉が開けられた。
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黒尾「A･･･ちょっと、いいか？」
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玲乃 - 初見です。失礼します！2015年からのコメントあって他人ながら「愛されている小説なんだなぁ」と思っています。素敵な小説の更新を気長に待っています！ (2022年1月5日 22時) (
レス) @page13 id: 7226c025a1 (このIDを非表示/違反報告)
みーみー - はじめまして。この話､とても心に刺さりました！続き待ってます！ (2021年10月27日 17時) (レス) @page13 id: 2fe788064b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - こんにちは 初コメです。このお話好きです！実は私もちょっとした病気なので…続き待ってます (2021年7月10日 14時) (レス) id: 10889d7f5e (このIDを非表示/違反報告)
闇波瑠(プロフ) - やっぱり何回も見に来てしまいます！出来れば続きがみたいですが…更新待ってます！！ (2021年2月1日 1時) (レス) id: a655571041 (このIDを非表示/違反報告)
愛甘(プロフ) - 涙が……。病院について全然わからなかった私ですが、とても面白いです！好きです!!お体に気をつけて。更新楽しみにしてます！ (2020年5月30日 14時) (レス) id: 93aef9f3cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗乃みこ
| 作成日時：2016年6月5日 21時
