125 プレゼント ページ13
研磨さんが退院して。
部屋で1人で吐いたり泣いたりしても、いつも慰めて話しかけてくれる人はもう居ない。
それになかなか慣れなくて、心細くて、今まで自分が周りに甘えてたことを思い知らされた。
.
.
それからしばらくして。
コンコン
部屋のドアをノックする音がした。
黒尾「Aー、入るぞー」
「なんだ黒尾か.....ってえ、何その格好」
そこには普通にセンスの良い私服の男が立っていた。
黒尾「俺今日休みなんだわ、久々に」
そう言ってベッドの隣の椅子にドカッと腰かけた。
「休みの日にまで病院来るとか、あんたワーホリ?」
黒尾「あー?ちげえよ、ちょっと研磨んとこに顔出しに出かけたついでだよ。
研磨さんいなくて寂しがってる誰かさんの話し相手になってやろうと思ってな」
そして、あっ忘れてた、と持っていた袋から小さい箱を取りだした。
黒尾「これ、研磨から。あいつが好きなケーキ屋のアップルパイだってさ。また今度顔出すって言ってたわ」
「えーーー!美味しそう!ありがとう!!」
なんでも研磨さん、家に置いて進めれてなかったゲームを死に物狂いでやってるのだとか。
研磨さんらしくて思わず笑っちゃった。
.
黒尾「そんで、これは俺からなんだけど.....」
そう言って取り出したのは、
「.......帽子?」
白のシンプルで可愛い薄手のニット帽。
黒尾「お前が最近めっきり鏡見なくなったって研磨から聞いてさ。これ似合うかなって思って、ちょっとかぶってみ」
そう言って、私の頭に帽子をかぶせると、自分のスマホを内カメにして私に渡してきた。
自分の顔を見るのは何週間ぶりだろうか。
寝て起きた時に枕に髪の毛がついてるのを見る度に鏡を見るのが余計怖くなって全く見てなかったから、今自分がどんな状態なのかも分からない。
黒尾「.......どお?」
「.......かわいい。ありがと」
黒尾「だろー、さすが俺だわ」
ハハっと笑う黒尾を見てたら、何でか視界がぼやかてきた。
黒尾「おいおい、まさか泣いてんのかー?
そんなに嬉しかったか」
黒尾が茶化してくるけど何故か涙が止まらない。
黒尾「何でかわかんなくても泣きたきゃ好きなだけ泣いたら良いじゃねえか。今日は俺がいてやるからさ」
そういって帽子越しに頭をポンポンとされた。
今思えば心細かった時に優しくしてくれる人がいて、とても嬉しかったのかもしれない。
続く (更新停止中) お気に入り登録で更新通知を受け取ろう
←124 また来るから

293人がお気に入り
「ハイキュー」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
玲乃 - 初見です。失礼します!2015年からのコメントあって他人ながら「愛されている小説なんだなぁ」と思っています。素敵な小説の更新を気長に待っています! (2022年1月5日 22時) (レス) @page13 id: 7226c025a1 (このIDを非表示/違反報告)
みーみー - はじめまして。この話、とても心に刺さりました!続き待ってます! (2021年10月27日 17時) (レス) @page13 id: 2fe788064b (このIDを非表示/違反報告)
奏(プロフ) - こんにちは 初コメです。このお話好きです!実は私もちょっとした病気なので…続き待ってます (2021年7月10日 14時) (レス) id: 10889d7f5e (このIDを非表示/違反報告)
闇波瑠(プロフ) - やっぱり何回も見に来てしまいます!出来れば続きがみたいですが…更新待ってます!! (2021年2月1日 1時) (レス) id: a655571041 (このIDを非表示/違反報告)
愛甘(プロフ) - 涙が……。病院について全然わからなかった私ですが、とても面白いです!好きです!!お体に気をつけて。更新楽しみにしてます! (2020年5月30日 14時) (レス) id: 93aef9f3cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:みさ | 作成日時:2016年6月5日 21時