言 ページ12
.
『は..............』
.
___________________________
俺たぶん、望月さんのこと好きになると思う。
.......え?
.......とかね。
あ、ああ、例え話か。びっくりした
.....ふふっ
___________________________
.
思い出す。
確かにあの時角名くんは、あれが例え話であることを認めたわけではなかった。
ただ、笑っただけ。
.
.
『っ、.......え、ちょっ、まって。
じゃあ角名くん、私のこと、』
「あ、そろそろみんな移動し終わってるよ。
俺達も新しい席行かないとね」
顔に熱が上る私をよそに、角名くんはそんな事を言った。
「じゃあね、望月さん。楽しかったよ」
大量の教科書を抱えて背を向ける角名くんに、私は言う。
.
.
『ひ、人の気も知らんくせに!』
.
.
すると、彼はこちらを振り返って
いつものように目を細めて笑った。
.
.
.
「そうだね。俺、今なんの予想も予測も出来ないし
望月さんが何思ってるかとか全然わかんないや」
.
.
.
それは、角名くんなりの遠回しな告白であり、煽り言葉だった。
君の気持ちは察してあげれないよ。
だから言いたいことがあるなら直接どうぞ、って。
.
.
そんなん言うてくる時点で既に私の気持ちなんて分かってるやん、絶対。
.
.
.
私は移動した後の新しい席から、遠くにいる角名くんに目をやる。
すると私に気づいた彼は、いつの日かやってくれたみたいに左手をキツネさんにして、コンっ、と小さく口を動かした。
ニヤリと笑う角名くんを見て私の頭に浮かんだ言葉。
"狐につままれた"
.
.
私はため息をついて、心を落ち着かせる。
角名くんは初めから最後まで掴みどころの無い人だった。
.
___________________________
狐につままれる
意外なことが起こって何がなんだか分からないさま。
534人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
つくね崎(プロフ) - めっちゃ綺麗に終わってて満足です!!素敵な作品をありがとうございました (2022年7月18日 10時) (レス) @page14 id: 3bae99a1d4 (このIDを非表示/違反報告)
いろは - さっきコメントしたものなんですが、他の作品、ほとんど全部読んでました笑笑。素敵すぎて、全部大好きです! (2022年6月14日 20時) (レス) @page15 id: c007a53f3a (このIDを非表示/違反報告)
いろは - シンプルに、この話好きすぎました…!!!読みやすかったし、何より文才があって、羨ましい限りです!大好き!他の作品も読ませて頂こうと思います! (2022年6月14日 20時) (レス) @page15 id: c007a53f3a (このIDを非表示/違反報告)
うんうん - とても面白い作品でした!ありがとうございます! (2020年5月31日 21時) (レス) id: 0f3063d9b8 (このIDを非表示/違反報告)
至ってノーマル - ひょええええええええええ!!角名がいる…。好きですううううううううう!角名のコンっが脳内で鬼リピされておりますありがとうございますうううううう!!! (2020年5月31日 13時) (レス) id: a822e4b3b3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:紗乃みこ | 作成日時:2020年5月26日 21時