出会った日4 ページ19
『い、嫌だあああああ私この人苦手なんだよコンチクショオ!!!!』
煩い奴。馬鹿みたい。
そして初対面なのに失礼な。
「初対面なのに酷い言い草だね、鬼にでも喰われれば?」
『いや、初対面じゃないし。数日前あったばかりだし‥』
嗚呼、なんだ。また、忘れただけか。
基本、僕が本当に印象に残った人ぐらいしか覚えていない。お館様とか、柱の人達とか。それぐらい。
「そんなのもう忘れるよ」
君みたいな煩い奴なんて忘れるよ、と皮肉を込めて僕は言った。
「僕、忘れるんだ。記憶喪失だし」
決して僕の記憶力が悪いせいじゃないからと、今にも僕を人でなしよわばりしそうなコイツに言う。
‥‥‥コイツの名前なんだっけ。忘れた。まあ、いいや。
あ、でも僕なんで記憶喪失のこといったんだろう。面倒なことになりそうなのに。
絶対、無駄にウザいコイツも静かになって、僕を可哀想な目で見る。記憶喪失は可哀想だと。
周りの人は僕を、見る。可哀想だと。
その目が僕は嫌いだ。
可哀想な目で、見るな。
『いやでも私は君が記憶喪失だからって可哀想だねとか優しい言葉とか言ってあげないからね、君が私の心を傷つけたことは忘れないから!!!!』
煩い奴。馬鹿みたいに叫んでむうと口を膨らます。
変わらない。対応が。
僕が記憶喪失だと知っても。
僕を、可哀想な目で見ない。
「‥‥‥んだ」
なんだ。
なんだ。
『ん?今、なんか言った?』
「うるさいなぁって思っただけだよ。
ほら、早く行くよ愚図」
『酷いけど正論‥‥‥』
こいつ、煩いけど。
それでも悪いやつでもないのかも。知れない。
.
痛い。腕の骨、いまので折れたのかも知れない。
柱なのに。強くなくちゃいけないのに。
「霞の呼吸‥‥‥」
駄目だ。
呼吸が‥‥息が‥‥
僕は‥‥‥まだ‥‥弱いのかな。
意識が‥薄れてきた。
嗚呼、
嗚呼。
僕はもう、終わりなのかも知れない。
ただの雑魚鬼にやられて。
それで終わりの人生。
誰の役にもたてずに。
嗚呼。絶望だ。絶望だ。
『う、うわあああああああああああああああ』
なんで。
煩い奴が無茶苦茶に刀を振り回して。
下手くそな振り方。
それでも。
「か、霞の呼吸‥壱の型____」
僕は助かったよ。
煩いけど君に、助けられたんだよ。
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ひいらぎ・いろ(プロフ) - ニコさん» ありがとうございます。頑張ります! (2020年5月9日 21時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
ニコ - 番外編楽しみです。これからも頑張ってください。 (2020年5月8日 14時) (レス) id: 345f7572e7 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ(プロフ) - 夢世_yumese_さん» ありがとうございます!今、番外編の内容に迷っていましたがギャグとほわほわいれていきたいと思います。 (2020年5月5日 20時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢世_yumese_(プロフ) - 最初は笑わせていただしました( 'ω')。あとに秒でちょっとうるっときてしまった…笑 (2020年5月5日 20時) (レス) id: 093bdce514 (このIDを非表示/違反報告)
ひいらぎ・いろ(プロフ) - なないろ椿さん» あ、私もです。← (2020年5月3日 16時) (レス) id: 79b860e9e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひいらぎ・いろ x他1人 | 作成日時:2020年4月28日 19時