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UNKNOWN ページ19

…オレ、今Aに抱きしめられているんだな?
やっとの思いで脳がやっと理解する。
「じゃあ私、振られたんですね」
そう言ってAが離れようとするから。オレは反射的に彼女を抱きしめ返した。
「ッ!」
「今の言葉、本当なんだな?」
「嘘言ってどうするんですか」
「オレも好きだ、Aの事が」
暫くしてから我に返る。そういえば外だった、とオレはやんわりAを放した。
「…良かった、ちゃんと告白出来て」
「ってか今思い出したけど、不器用ってオレの事かよ」
「貴方以外誰がいるんです?」
「…いや、否定しねぇけど」
「…っふふ、これからは恋人なんですね」
未だ夢心地だ、と目元が東雲色な彼女は言う。
「…夢じゃねぇよ」
オレはそう返して、Aを家まで送り届けた。



「…こいびと」
その単語を発して1人でニヤニヤする、という気持ち悪い行動を続けて何回目になっただろう。絵名にも気持ち悪いと素で引かれた。
仕方ねぇだろ。
昔も彼女が出来たりしたけど、こんなに嬉しさと幸福感で満たされるのは初めてなんだから。
『彰人さん』
あの時の彼女の声が、柔らかく脳裏に木霊する。
__なんか、すっげー幸せ。
胸が内側からジン、と温かくなるのを感じながらオレはゆっくり意識を沈ませた。



「彰人ーおはよー」
「おー」
いつもと変わらない朝。なのにオレには今日は違って見える。
クラスメイトの挨拶を適当に返し、隣の席の存在に声をかけた。
「はよ、A」
「…あっ」
するとAは目を輝かせて、
「彰人さん、あの後すぐにインスピレーションが湧いて一曲出来たんです。良ければ聞いてくれませんか」
いつもより笑顔でそう言ってきた。
Aのスマホに入った曲をイヤホンを付けて再生する。今回歌っていたのはKAITOだった。サビのメロディーはかなり中毒性があって、思わず口ずさんでしまうようなものだ。
これを短時間で作ったのか。
「…すげぇな」
「有難うございます」
「…そいえば、ずっと前に聞かせてくれた奴、あれどうなったんだ?」
するとAは少し渋い顔になる。
「あれは…一回放置しています。何が足りないのか分からないので」
「へぇ…まぁ、自分のペースで続けていけばいいんじゃねぇの?」
ますます彼女は目を見開いた。
「…あの彰人さんがそんなことを言うなんて、明日は雪が降るんじゃないですか?」
「俺だって優しい声掛け位出来るわ」






オレはまだ知らなかった。



Aが妬まれている事を。



Aが__だという事を。

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設定タグ:プロジェクトセカイ , 東雲彰人 , プロセカ   
作品ジャンル:恋愛
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Luna(プロフ) - ヤバい、好き…それで泣きそうめっちゃ泣きそう…。゚(゚´Д`゚)゚。 (2021年4月25日 0時) (レス) id: d4a00b7e76 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - 死ぬっていう展開の時に失礼かもだけど、やっぱりこの作品好きだな…… (2021年4月24日 13時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - ありがとうございます。お話は全然変えなくて大丈夫です。このままの方が作者様のオリジナルの素晴らしい作品になるのでそこに私が入ってしまうとなんか違う気がしますので、最後まで応援させていただきます。本当にありがとうございます。 (2021年3月17日 18時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
キリノ(プロフ) - のんちゃんさん» 感想ありがとうございます。物語の結末はもう決まっていて、ここから変えてしまうのは不可能ですが最後まで応援していただけると嬉しいです。知り合いの方には、ご冥福をお祈り申し上げます。私も経験しているので心中お察しします。不快になられてしまったらすみません (2021年3月15日 20時) (レス) id: fda9b97bde (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - 暗い話をしてしまい、ごめんなさい。嫌でしたら、コメントを消してくださって構いません。 (2021年3月15日 19時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:キリノ x他1人 | 作成日時:2021年2月26日 10時

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