UNTITLED ページ16
__翌日。
待ち時間にSNSを開く。
『イベントお疲れさまでしたー!ガチャは推しが来るまで我慢だ!生放送楽しみ…!!』
『今日はビビバスの皆と遊びに行ってきます☆皆に服選んでもらった…似合うかな(本音)』
は?似合うように合わせてやったんだろうが。
…って言うか、あの服滅茶苦茶似合ってたたな。
今から会うんだ、という実感が湧いて来て動揺していいねを3回位押した。
「…何だかそわそわしているな」
隣にいた冬弥に気付かれる程には、緊張している。
…仕方ねぇだろ。
「…ほっとけ」
オレと冬弥はAたちが来るのを待った。
「お待たせー!待った?」
「白石、小豆沢、喜代田。大丈夫だ」
「…私服って、少し恥ずかしいですね」
絶賛思春期のオレは気にかけるような言葉は出なくて。
「俺が選んだ服だぞ?もうちょっと堂々としてろよ」
「言われなくても分かっています」
小馬鹿にするような言葉しか出ない。
好きな人にはいじめたくなる。そんなガキじみた事、何て思っていたが案外オレも人のことは言えないらしい。
「…喜代田が来ている服は彰人が選んだのか?」
「ん?あぁ…昨日店に来てな」
「そうだったのか、とてもよく似合っている」
嗚呼これだから天然無自覚系男子は。
するとAは頬を少し染めて、
「あ、有難うございます」
片手で顔を隠した。そのしぐさに不覚にもきゅん、と来てしまった俺は重傷だ。
「あ、そうだ彰人」
何を思ったのか、杏が話しかけてくる。
「Aさー、ちょっと化粧してるでしょ?」
気付かれないようにAの顔を見る。何かいつもと違うな、とは思ったが。
「あれねー、私とこはねでしたんだよ?綺麗でしょ」
「あーはいはい…」
まぁ綺麗だけど。
「で、瞼の…アイシャドーなんだけどね__」
「あの色、東雲色っていうの」
そう、杏はくすくす笑いながらそう言った。
「東雲…はぁ!!?」
「まぁ、せいぜい頑張ってねー」
美術の授業で東雲色があるのは知っていて「苗字だな」程度に覚えていたが。
「…彰人さん?」
こちらの視線に気づいたのか、Aはこっちを凝視する。
確かに杏の言うとおり、目元が少しオレンジがかっていて薄い唇がほんのり桜色に染まっていた。
しかもその目元の色が東雲色って。
滅茶苦茶そそるが、頭を思い切り振って煩悩を追い払った。
「んでもねぇ、さっさと行くぞ」
「そうだね。Aちゃん、何処に行く?」
こはねがそう尋ねると、
「パンケーキ屋に、行ってみたいです」
Aは微笑みながらそう答えた。
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Luna(プロフ) - ヤバい、好き…それで泣きそうめっちゃ泣きそう…。゚(゚´Д`゚)゚。 (2021年4月25日 0時) (レス) id: d4a00b7e76 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん(プロフ) - 死ぬっていう展開の時に失礼かもだけど、やっぱりこの作品好きだな…… (2021年4月24日 13時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - ありがとうございます。お話は全然変えなくて大丈夫です。このままの方が作者様のオリジナルの素晴らしい作品になるのでそこに私が入ってしまうとなんか違う気がしますので、最後まで応援させていただきます。本当にありがとうございます。 (2021年3月17日 18時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
キリノ(プロフ) - のんちゃんさん» 感想ありがとうございます。物語の結末はもう決まっていて、ここから変えてしまうのは不可能ですが最後まで応援していただけると嬉しいです。知り合いの方には、ご冥福をお祈り申し上げます。私も経験しているので心中お察しします。不快になられてしまったらすみません (2021年3月15日 20時) (レス) id: fda9b97bde (このIDを非表示/違反報告)
のんちゃん - 暗い話をしてしまい、ごめんなさい。嫌でしたら、コメントを消してくださって構いません。 (2021年3月15日 19時) (レス) id: bc0f9be876 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キリノ x他1人 | 作成日時:2021年2月26日 10時