第34話 形勢逆転 ページ36
霜月雹楼傘、呼吸が続く限り相手を攻撃する技。なので速さもあり攻撃力もそれなりにある。逃さないという言葉通りに師匠に攻めているAは今のところ成功している技に喜びの笑顔を浮かべていた。
「師匠、どうですか?僕は成長したでしょう!?貴方を追いつめられるほどに!」
師匠の体に傷がついていく。それは自分の頑張りの証。師匠の体から血が出ているのは自分で考えた型が成功している一番の証。
歪んでいる。考え方も、表情も、何もかも。しかしそう育てたのは師匠自身。
「失敗作めが・・・!」
師匠が吐き捨てるように言うと、Aはきょとんとした。
「失敗作?僕が?新たな型まで考えたのに失敗作ですか?」
攻撃は止めないまま首を傾げるその仕草。なのに何故か師匠の体は恐怖に震えた。
何の変哲もない、疑問に思った時の首を傾げる仕草なだけなのにここまで空気を支配するだなんて。
「いいえ、僕は成功作です。誰よりも貴方のことを思っている。誰よりも!貴方の上をいくことだけを考えてきた!だからッ」
「ガッ―――――!」
師匠の刀を弾き腕を斬る。形勢逆転。今度はAが師匠の首に刀の切っ先を添える。
「だから褒めてください。よくやったと。さすが弟子だと。それだけでいいんです」
それだけで、僕は貴方を殺すことを躊躇ってしまう。少しでも父親代わりであると、殺されたくないという人間性があると言うなら心が彼を逃してやる方に考える。
依存している。理解しているのに、何も理解出来ていない。心がチグハグで2つの世界を同時に生きているかのようだ。
辛い。自分の中の師匠が消えていくのが辛い。鬼としての師匠に上書きされていく。目から涙が溢れた。お願いだから、貴方を殺したくないと思っているから、この心が辛いから。
ねぇ、褒めて、父さん―――――。
「では褒めよう。ただし、殺せ」
毅然とした師匠の目がAを貫いた。
「お前が信頼しているあの痣の青年を殺せ。そしたら望んだ通り、褒めてやる。この戦いも再開して私に傷がつくたびに、強くなったと認めてやろう」
炭治郎を、殺す?
そしたら、師匠に褒められる?
「ですが師匠、竈門くんのことを信頼しているわけでは・・・」
「なら尚更殺せるな。別段なんとも思っていない相手であるなら躊躇いなど不要だ」
刀の先が震える。考えたくもない。炭治郎を殺す自分を。
この感情は、彼のことを信頼しているという事になってしまうのだろうか。
110人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時