第33話 新たな型 ページ35
「なッ!?」
さらに血が溢れて、師匠は顔を歪めた。
これが血鬼術なのか?情報では鬼特有の異能力であるはずだ。師匠の血鬼術は何だ?なぜ自分を傷付ける?そうすることで、一体どんな技がくるんだ?
刀の血を払った師匠。自分で斬った場所には傷跡が
傷がない……それに血鬼術……。つまり師匠の血鬼術は、回復系統か?すでに鬼の回復力が凄まじいことは知っている。師匠は自分を傷つけることで回復の血鬼術が発動する、という考えでいいのだろうか。
「まさか血鬼術の力がこれだけだとは思うておらんであろう?」
わかっている。血鬼術は数多くいる鬼の中でも限られた者達が使えるという異能力だ。たかが回復止まりなわけがない。
何がくるかわから無いので刀を構える。師匠は同じ場所で動かない。
だが次に瞬きした瞬間、師匠の姿はどこにもなかった。
消えた!?いや違う!
勘を頼り刀を横にする。キィンと刀が交わる音。師匠の姿が見えてから風が巻き起こった。
「回復力と身体の筋力をあげる血鬼術……ですね」
刀で何とか師匠の攻撃を防いだが、長くは持たないだろう。あまりの力に刀が折れてしまいそうだ。
「その通りだ。勝ち目が無くなったな。それでもまだ人として歩むか」
「ええ。人であることに賭けようと思います」
打開策はある。失敗の可能性の方が圧倒的に高いが、今のこの状況であればやらないよりかは助けてもらえるかもしれない。
五感を研ぎ澄ませる。余計な考えは全て捨て、今目の前にいる師匠にだけ注目した。
―――――――月の呼吸 拾壱ノ型・霜月
成功したことはないが、師匠を倒すためだけに考えた新たな呼吸。何年も何年も積み重ねたけれど、呼吸を取得するのは大変だった。
「ほう」
師匠は片眉をあげた。まさか新たな型を作っていたとは。
「あなたの為の型ですよ、師匠」
人の姿のままで良かった。しっかりと狙う場所が定まる。
何度も刃を交えながら、太い血管が通っている部分全てを斬っていく。同じ場所に、何度も刀を食い込ませる。
動脈に触れれば、血管が破裂し血が噴出する。それこそ、傘が必要な程に。
「ぐっ―――!」
さすがに師匠の体もこれ以上やられたらマズい。一先ず距離を取って血鬼術を使わねば。
「逃しませんよ」
厄介なのは血鬼術。自分で自分を斬らなければ発動しないなら、そんな隙など与えない。
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時