第31話 圧倒的 ページ33
「もちろん親や友人を殺した鬼のことは憎いですよ。でもあの時の鬼がいないことも分かっています」
あれだけ大事になった町。鬼殺隊が放っておく訳ないだろう。だから
「さて、昔話ももうやめましょう。貴方との思い出はたくさんありますが、語っているうちに逃げられてしまいそうだ」
「師匠が弟子に背中を見せるわけがなかろう。差が圧倒的だというのに、まだ分からぬか」
――――――月の呼吸 拾ノ型・神無月舞
――――――宵の呼吸 参ノ型・三日月演舞
どちらも根本は同じ。踊るように避け、舞うように鮮やかに殺す呼吸。
師匠は月の呼吸を元として新たな呼吸を生み出した。ならば月の呼吸の方が完成度も高く技も速い。
はずだった。
「ッ―――!?」
避けたはずの刀に貫かれ、服が、肌が、傷付いていく。
Aは月の呼吸を扱うことに自信があった。師匠がいなくなってからも実戦を重ねていたことで極めたと思っていたのだ。だから、この状況が全く理解出来ななかった。
「何故……」
「何故だと?新たな呼吸をつくったのだ。前の呼吸の弱点を無くすための改良だと思わんのか、愚か者」
拾ノ型の弱点?今までその型で鬼を倒してきたが弱点があると思ったことは無い。むしろこの呼吸はそれなりに人を喰い強くなった鬼にほど使える呼吸だ。避けてから攻撃するまでの速さが、呼吸を使うのと使わないことでは大きな差となっている。断然呼吸の方が使いやすい。
もう一度距離を取り態勢を整える。ハッ、ハッと酸素を取り込み脳を回す。深くはないがどこもかしこも傷だらけだと色んな場所が一瞬痛む。
「その弱点が分からないようなら私には勝てん。一瞬足りとも、この戦いに勝機はないと思え」
――――――宵の呼吸 肆ノ型・
師匠が飛ぶ。上からの師匠の攻撃は、刀の
まるで弧を描くような運び。持ち手に近い刃からの攻撃なので飛ばされそうだ。
「ぐッ!!?」
師匠の刀裁きの方が上だった。重心を保てず飛ばされる。木にぶつかり視界に火花が散る。意識を保てるのがやっとだ。
師匠の言う通り、圧倒的だ。差が歴然。こちらの息が切れているのに対し、師匠は悠然と立っている。
「諦めろ。お前に私は殺せぬ」
ゆっくりと近づいた師匠はAの顎を掴み目を合わせる。
「選べ。死か、鬼となるか」
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時