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第27話 信用 ページ29

「面倒だよお前。邪魔」

横から糸が迫る。上に飛んで避けると、それを待っていたかのようにさらに横から糸がきた。

まずい!殺られる―――!!

刀の刃で受けると確実に折れる。ならばと刀を倒し受け止めた。威力で飛ばされる。木にぶつかる前に態勢を持ち直し着地した。

ハッ、ハッ、と自分の息が上がる。呼吸を極めたなんて思っていたのに到底及ばない。あまりにも速く、攻撃の一つ一つが重い。

「くそッ!!」

師匠に会わなければいけないのに!こんなところで立ち止まってはいられないのに!
落ち着け。師匠なら何をする?師匠なら何と言う?あの人なら――――――。

「糸が硬いのに間合いに入れば首が獲れると思っておるのか、愚か者」

Aの息が止まった。顔の筋肉がピクピクと震え、目は一点を見て瞬きをせず、落としそうになる刀をギリギリ持っているのが精一杯になってしまった。

「し、しょ………」

紡げた言葉はそれだけ。
息が上がる。呼吸の仕方が分からなくなりそうなのに脳は酸素を欲しがっている。体が震える。
会えて嬉しい。愚か者と言われた。師匠が生きている。褒めてもらえなかった。師匠はやっぱり頭がいい。鬼の角が見える。昔の雰囲気と変わってない。恐ろしく強い。月の羽織はまだ羽織っていてくれている。人間を蔑む目をしている。

炭治郎は累の糸の匂いより強くなった匂いに反応しAを見た。ごちゃごちゃしている。波が押し寄せるみたいに感情が次々にきて、気持ち悪くなってくる。
あれがAの師匠。Aから聞いた通りおじ様と呼ばれそうなオーラを放っている。人と違うのは黒い角があることだ。そして左の瞳の中には『下漆』の文字。下弦の漆人目の鬼であるということだ。

「お前、まだいたの。早く出てってよ」

累が心底面倒そうに呟く。一応下弦であるため無惨以外の鬼で十二鬼月の殺害は駄目なのだ。

「出ていくとも。この程度では遊んでもつまらぬ」

師匠はAを見るとため息を吐いた。

「お前には心底呆れたよ、A」

「ッ――――――――――――!!」

呆れられた?師匠に?失敗した?駄目だった?焦ったから?表情を見せたから?笑わなかったから?
炭治郎たちを、少しだとしても信用していたから?

師匠は木を蹴り森の奥へ消えた。体が動かない。追いかけたいのに!

「A!追え!」

ハッと炭治郎を見る。

「俺はこの鬼を倒す!Aはあの鬼を追うんだ!」

でも、竈門くんは刀が――――。

「俺を!信じてくれ!」

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設定タグ:鬼滅の刃 , 男主 , 月の呼吸   
作品ジャンル:アニメ
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時

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