第21話 首無し ページ23
かくして、炭治郎の策通り枝にぶら下げることは成功した。これで先に進める。
グギャリ
「ッ――――――――――!!!」
だが鬼は無情だ。人間を道具としか思っていない。特にこういうふうに操るタイプの鬼はそうだろう。要らなくなったら棄てるのと同じで、殺すのだ。役に立たないから。要らないから。
ここにいた3人の首は容赦なく糸で折られた。つまりは死を意味する。これで安全だと思われた策は最悪な結末を迎えた。
炭治郎は、首を折られた隊員の一人に近づく。
Aは震えた。
殺気だ。あの炭治郎からの、心の底からの怒り。肌を刺されるような感覚。今動いたら首が飛ぶ。そう錯覚させるほど、恐ろしい殺気。
風が吹く。彼は隊員を見ているので顔が見えないが、恐らく今まで見たことないほど冷酷で、怒り満ちた顔をしているだろう。
誰かの殺気で震えたのは久々だ。その感覚は伊之助も同じなようで、固まったまま動けなくなっていた。
「――――――行こう」
彼はそう言って先を歩いた。
もともと温厚な性格の人間は本気で怒らせると怖い、そう誰かが言っていた気がする。今まさにそんな状態だ。
だが先を急がなければいけないのも事実。Aたちは鬼への憎しみを新たにさらに奥へ向かう。
走っていくと嫌な気配がした。炭治郎の目線もキツくなる。鬼が、いる。
「伊之助!A!」
「俺の方が先に気付いてた!行くぜぇ!」
伊之助が特攻隊の如く斬り掛かる。だが、鬼の姿に驚いた。
「コイツ、首がねぇ!!?」
首がない。
つまりは、鬼としての急所が無いということだ。恐らくこの鬼も、糸に操られている身だ。大きいから先程のように枝に絡ませる事もできないだろう。
「どうすんだ!?どうすんだ!?」
「落ち着け!
「っしゃー!」
炭治郎の言葉を最後まで聞かず伊之助は飛び出し首無し鬼に近付く。だが鬼の刀捌きは今までの鬼より速い。操りがしっかりしているのは元凶の鬼が近い証拠だ。
「しまった!蜘蛛がいた!」
伊之助の腕には蜘蛛が糸を張る。気付けば彼の動きは止められていた。いけない、このままでは殺られる。
Aと炭治郎は駆けていく。炭治郎は首無し鬼の剣の軌道を逸らし、Aは伊之助を動けなくした糸を斬る。
強いな。それなりに動きが速い。力技では勝てそうにもない。急所もないとは、一体どうしたらいい?
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時