第19話 糸 ページ21
隊員に聞くと烏から指令が入り10人の隊員とこの山に入ったらしい。山に入ってしばらくすると、隊員が隊員同士で斬り合いになりほとんど殺られたようだ。
斬り合い……。Aの予想通り糸系統であるのなら操られている可能性がある。厄介だな。
そのとき、カラカラカラと音が響く。揃って戦闘態勢に入り辺りを見回す。何の音だ?どこから聞こえる?
「またこの音だ。この音が鳴って、気付いたら隊員同士が斬り合いになっていたんだ」
「音はどこから――――――」
Aは不穏な気配のする左を睨んだ。奥で何かが動いた気がする。こういうときのAの勘は、当たる。
「左だ」
炭治郎たちが向くと、左の林から血だらけの隊員たちが出てきた。彼らは瞬間斬りかかる。
目線、呼吸、筋肉の使い方…。どこを取っても人ではなさそうだ。かと言って鬼でもない。恐らく彼らが斬り合いをしていたのは隊員服なので鬼殺隊のだろう。
「こいつら皆馬鹿だぜ。隊員同士で殺りあうのは、ご法度って知らねぇんだ」
「いや違う。動きがおかしい。何かに、操られている!」
炭治郎も気付いた。ならば糸という線で間違いない。
それなら……。
隊員に襲いかかろうとしていた奴を炭治郎と伊之助で倒す。Aはそこで、地面に倒れている襲いかかろうとしていた奴の背面から空中を斬る。糸であるなら、操るためにどこかが糸と繋がっているからだ。
そいつは倒れ、二度と起き上がらなかった。
「あれらは糸で操られているようだ。それを斬れ」
一先ず対処法は分かった。炭治郎も伊之助も隊員の彼も空中を斬る。
だがどこから糸を繋いでいる?どうやって彼らに糸を繋ぐ?
「糸を斬るだけじゃ駄目だ!蜘蛛が操り糸を繋いでいる!」
炭治郎が叫ぶ。そうか、蜘蛛が繋いでいたのか。そうなるとここにいる蜘蛛を根絶やしにするか、元凶の鬼を殺すか。前者はものすごい時間がかかりそうだ。
瞬間、ビリビリとした空気が伝わる。
緊張ではない。これは、恐怖だ。
「―――――――何か、来る」
呟き周りを見る。彼は、姿を現せた。
見えないくらい細い糸に乗って、少年のような白い子供が見下ろしている。侮蔑と、怒りの目だ。
「僕たち家族の静かな暮らしを邪魔するな。お前らなんてすぐに母さんが殺すから」
「……母さん?」
家族揃って鬼ということだろうか。しっかり自我を持った鬼が、全員家族であると?家族全員が適合したというのか。
そして僕らは鬼の家族を殺すのだ。
「…まるで悪夢だな」
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埋夜冬(プロフ) - 白澤 晴夜さん» ありがとうございます!考えてくださった設定があるからこその作品です!書かせていただきありがとうございました!これからも頑張るのでどこかの作品でまた会えたら嬉しいです! (2020年3月24日 1時) (レス) id: f9a8d8c7d5 (このIDを非表示/違反報告)
白澤 晴夜(プロフ) - 完結おめでとうございます!!とても読み応えのある作品で次の更新はいつかといつもワクワクしながら待ってました!笑 これからも頑張ってください!!応援しております!! (2020年3月24日 1時) (レス) id: 5742d2c832 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - 埋夜冬さん» いえいえ、此方こそわざわざ済みません、そうでしたか別物だったのですね、テスト勉強頑張ってくださいこれにて失礼いたします (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
埋夜冬(プロフ) - スノーさん» ごめんなさい!善逸君の名字間違っておりました!すぐに訂正します!指摘ありがとうございます!月の呼吸はフォロワー様から案をいただいたもので、そのフォロワー様もアニメ勢なので別物です。紛らわしくてすみません! (2019年11月26日 22時) (レス) id: 87a5a46f37 (このIDを非表示/違反報告)
スノー(プロフ) - コメント失礼します、善逸の名前ですが確か我が妻と書いて我妻だったような気がします、それとアニメ勢なら知らないのは仕方ありませんが月の呼吸なるものは原作に出ておりその中でも重要な呼吸でして、それとも原作の月の呼吸とは別の物でしょうか?長文失礼します (2019年11月26日 22時) (レス) id: a85ea00e83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:埋夜冬 | 作成日時:2019年11月3日 0時