二十四頁〜狂い始めた歯車5〜 ページ30
「はぁー」
ほんと、もう。最悪だ。
今日だけではない。
なんだか最近うまくいかない。
これも第二の性別(Ω)のせいだろうか、なんて考えが頭に浮かぶ。
しかしそんなもの、すぐさま振り払(はら)った。
無意識のうちにΩであることを言い訳に逃げようとした自分が恥(は)ずかしい。
Ωであることを知ったのは最近だ。
しかし生まれたときから雪城がΩであったことに変わりはない。
そんな言い訳、通用するもずもないのだ。
だから、そう。
なにかが大きく変わったわけではない。
真実を知っただけ。
けれども、少しずつ。そして確実に雪城の世界は変化していた。
この世に不変のものなど存在しない。
良くも悪くも……。
足元が崩(くず)れていくような恐怖と漠然(ばくぜん)とした不安。
じわり、じわり、と侵食(しんしょく)するように、Ωである事実が雪城を追い詰めていた。
パチンッ!!
ダメだ。
この程度でへこたれてる場合ではない。
またもやマイナスな方向へ思考が傾きかけていたことに気づき、両の手で頬(ほお)を強くはたいた。
気合いの入れ直しだ。
とりあえず俺は目の前の問題。
そう、つまりは中間テストに向けた勉強へと取り組むことにしよう。
雪城は小学校入学時より使用している勉強机に、教科書やノーとやらを並べだした。
しかしこの頃の雪城はまだ、それが一種の現実逃避(とうひ)であることに気づいてはいなかった。
雪城は問題を先送りにしたにすぎない。
別の何かへと意識を向けることで、絡(から)み合う不安や不快感、もどかしさや、やるせなさ。押し入る名前も知らぬ様々な感情を無視し、逃げただけ。
向き合うことを放棄(ほうき)したにすぎない。
この日のツケは必ず回ってくる。
その時になって後悔することになるなど、彼はまだ知らない。
何も知らない。
▼▽▼▽▼▽
【作者より】
お久しぶりです。
長らく更新できず、大変申し訳ありません。
前回の更新からまさか一月以上も経つとは!!
今後もこういったことがあるかもしれませんが、ご理解の方よろしくお願い致します。
失礼いたしました。
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作者名:フロース | 作成日時:2019年3月4日 19時