【オリジナル】それは、ささやかなる願い。【BL】 (ページ23)

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十八頁～抑制剤２～ページ23

そして最後に……経口避妊薬とアフターピル、か。

この二つはΩでなくとも女性ならば知っているかもしれない。

経口避妊薬はその名の通り妊娠を防ぐためのものである。

これは行為が行われた後では遅く、あらかじめ決められた周期に決められた量を飲んでおく必要がある。
ただし、毎日正しく服用することで百パーセント近い確率での避妊効果が認められている。

アフターピルは、妊娠の可能性がある場合(避妊に失敗した場合)、行為が行われた72時間以内に一度目を服用。
それからさらに12時間後に二度目を服用することで、妊娠のリスクを下げるものである。

お金のことなんて気にせずしっかり飲めって言われたけど、気にするもんは気にするんだよなぁ。

試しにネットで薬のことを調べたら自分の目を疑った。

絶対ゼロの数がおかしい。多分二つほど間違ってる。
最も一般的な抑制剤でこれだ。他の薬がいくらするかなんて知りたくもない。

先ほどの極端な話365日～とか何とか言ったが、現実的な話ではない。
海外セレブのようなお金の有り余った人たちがやる所業だ。

世の中の多くのΩがその性を公にせざるを得ないのは、薬を易々と飲むことができないからだ。

誤って外でヒートを起こしてしまった時のため、一回分の薬は持つ者は多いらしい。
でもネットで見た限りでは、約一週間続くヒートをやり過ごすほど抑制剤を飲むのは、余程の事情がない限りできるものではないと書き込まれている。

それだけでも、俺がどれ程恵まれているのか良くわかる。

この薬の量からして、恐らく両親は俺にβとしての人生を与えようとしているのだろう。

お前をΩになんてしない。安心しろとでも言うかのように。

Ωである事実を認めたくないわけではない。
俺はΩであり、それは変えることのできない、紛うことなき真実。

でも、少しでも人生を生きやすくする。
そのために俺は両親に甘えてもいいだろうか。