記憶消去屋__ Kento.N

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その日、勝利と放課後デートすることになった。




｢どこ行く？｣






｢淳菜の行きたいところでいいよ。｣






相変わらず優しい勝利。





でも、心なしか勝利がどこか抜けてるというか、何かポカーンとしているような…






やっぱり自分の中での第二の女が消えたからなのかな…





いやいや、それを忘れさせたのは私だから。






だから私が責任持って勝利の横に立つ。






そういえば、まだ代償としての涙を流してないけど…





ってかどうやって回収するんだろ。






｢おーい、淳菜ー？｣





｢あ、ごめんごめん｣






考えすぎてた。






｢着いたよ。クレープ屋さん。｣






｢ありがとっ｣






｢俺のおごりね？｣






｢いーの？｣





｢もちろん。｣





勝利としばらく話してて、流れは私たちが出会う前の昔の思い出話になった。






｢勝利、どんな子だったの？｣





｢んーとね、一言で言うと、とにかく危なっかしい子。

それでいてどんくさくて、でも外で遊ぶのが大好きで。

そんなどんくさい俺は中学の時も健在でさ。

中二の頃かなぁ、部活帰りに一度車に引かれかけたんだよ。｣






｢車に！？大丈夫だったの…？｣






｢まぁこうして生きてるわけだしね。

俺さ、なんも見てなかったんよ。

そしたら横からいきなりトラック来てさ。

あ、死んだーって思ったら助けられたんだよね。

後ろから突き飛ばしてもらったおかげで助かった。｣






｢おぉっ、命の恩人ってやつ？

その人とは今も連絡取り合ってるの？｣






｢うん。その人、当時の先輩マネージャーでさ。

えーっとね、えーっと…｣






｢どうしたの？｣






｢……………ない｣







｢え？｣







｢……名前と顔が思い出せない｣

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