72-YOU ページ22
帽子を被り、マスクをしてサングラスをかけた。
後部座席から運転するジヨンを覗き込んだ。
A「ジヨンさん…」
GD「なんだよ、急に…気持ち悪いなー」
A「お腹空いた…」
GD「……もっと他に言う事無いの？」
A「だって、お昼も夜も食べ損ねて…」
GD「あ〜…っと、じゃぁちょっと回り道するわ。美味しいお店のテイクアウトするから」
A「ありがと。」
GD「いっぱい食えんの？」
A「そりゃもー、たらふく食べれます」
GD「オッケー」
そんな事を言っていたら、お腹がぐぅ〜っと鳴った。
ジヨンだからか、そんな事に恥ずかしさも感じなかった。
しばらく進んだ車は、少しずつ見覚えのある道へ進む。
角を曲がり、
あるお店の前で止まった。
私の心臓はドクドクと鳴っている。
そこは、ドンヘ君のお家の近所。
2人でよくテイクアウトして食べたお店だった。
ドンヘ君はよく、この‘昔ながらの味’が上手いんだよね〜！って美味しそうに食べてたな…
ジヨンが車を降りて買いに行ってくれた。
このお店は、私の数少ない思い出のお店だった。
まさか、このタイミングでそのお店のご飯を食べることになるなんて…
ジヨンが戻り、車は静かに発進した。
GD「俺も、この匂い嗅いだら腹減ってきた」
A「…うん、早く食べよう」
程なくして到着したジヨンのお家。
ドンヘ君のマンションもすごいなーって思ってたけど…
ジヨンの住んでるマンションも、
これまたすごいなーってレベルのマンションだった。
部屋に上がればまるで迷路。
部屋がたくさんで、広くて…
ドンヘ君もジヨンも…
どんだけいい家に住んでんだ？
GD「そこ座ってて。今用意するから」
A「あっ、私やるよ！ここまでしてもらったから、申し訳ない…」
GD「……もう、今更でしょ？」
A「…え？」
GD「狙ってる子でもねーし、おもてなしとかするわけじゃないから。ただ買ったもの出すだけだから。座っててよ。」
A「…あり…がと…」
言い方はどうであれ、私を安心させて気を使わせない様に言ってくれたんだと。
分かるから。
ジヨンなりの優しさ。
GD「さっ、食べよ！」
A「うん、いただきます^ ^」
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作者名：shino | 作成日時：2017年10月20日 17時
