63-DH ページ13
僕とAちゃんとの記事が出た。
自分自身で2人の間にあった‘好き’っていうちゃんとしたキモチを否定してしまったような気分。
だけど、僕の周りも生活も世間もいつも通り、変わらない日常。
気持ちを整理する時間なんて与えてくれない程忙しい毎日。
そんな日々は僕の中の不信感を募らせるには充分すぎた。
今日はAちゃんがこっちに来る日。
ヒョクからの着信で目が覚めた。
EH「見た？」
DH「…こんな朝早く何？」
EH「Aちゃんが出てるやつ」
DH「…？？何に？？」
EH「何にって…BIGBANGのMVだよ。聞いてないの？」
DH「………ちょっ、見てみる！」
急いで電話を切って、パソコンを立ち上げた。
検索画面から1番に出てきたMVをクリックした。
始まった映像にはAちゃんの姿はなく、それでもじーーっと画面を見つめた。
1分以上経過した頃にジヨン君の歌声。
そして、少ししたらAちゃんがジヨン君の横に座ってた。
2人の距離に僕の心臓はソワソワと嫌な動きをし始めた。
2人の距離は0センチ。
くっついたり、抱き合ったり、見つめあったり…
Aちゃんの時折見せる笑顔が、素の笑顔だったから、余計にそれが僕の心臓を締め付けた。
僕は何も聞いてない
彼らと仕事をするなら、一言言ってくれれば良かったのに…
僕に内緒でこっちに来てたのも、ジヨン君と抱き合ってたのも、この仕事がきっかけ？
それともそれより前からそういう仲だったの？
何がなんだか分からなくて、
目の前の画面に流れるMVが繰り返されてて、
2人の距離が、ただの仕事を一緒にした人の距離には見えなくて…
ジヨン君とお似合いじゃん
とか、思っちゃったり…
同業者だから分かる、カットされたシーンだっていくつもあるだろうから
他にはどんなことしたの？
悪い想像はいくつもできた。
最初から、ジヨン君には嫌な予感しかしなかった。
きっとこれを予感してたんだ。
見たくないのに、何回も見てしまったその映像。
思い出したくないのに、頭に流れる映像。
今日はAちゃんと会える唯一の日だったのに…
これから会えなくなるのに…
今までのモヤモヤをどうにかして、大丈夫って思いたかった…
モヤモヤした気持ちと締め付けられる心臓の痛さに、涙が出た。
薄暗かった外は、気付けば眩しい位に晴れていた。
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作者名：shino | 作成日時：2017年10月20日 17時
