52話 精神安定剤 ページ6
「行き先は当日まで明かさない運びとなった。」
「「ええーー！！！」」
相澤は手に持っているB5のプリント、つまり合宿のしおりを破いた。
「ってか、何で二人共怪我だらけなの？」
「坂田、喋るんならちゃんと喋れ。」
沖田と神月は頭を机に向かってぶつけていた。
そして神月に至っては言葉にならない言葉で何かを喋っていた。
「昨日此奴に団子食われやしてねィ。クッソ、食い意地と胃袋は本気で底無しでさァ。」
「ふ、神月っさんっは、？ふふ」
死んでいる沖田と虚ろな目をした神月になぜか笑っている上鳴。
そして梅雨ちゃんがある単語を聞き取った。
「銀時って、男の人の名前かしら？」
「え！？」
騒ぎ始めた女子陣とがっかりする一部の男子陣。
「遂に来やがったか……。」
頭をガシガシと掻く沖田にどう云う事だと問い詰める女子陣。
ドンと勢いよく立ち上がった神月に一瞬空気が固まった。
あれ、この人こんなだっけ？と。
立ち上がった直ぐに又机に向かって頭をぶつけると机が綺麗に両断された。
「…おい、坂田お前、これ学校のだぞ。」
「あ〜無理、無理無理。何云われても無理。駄目だ〜、もう駄目だ。
此れ以上は無理だ！！もう数ヶ月？数ヶ月ぞ！！？ぁぁぁあ………。」
両断された机に又拳を打ち付けて再度両断した神月と今までの神月との変貌に驚く生徒達と相澤。
「其の儘死ねばいいのに…はぁ手前本当に旦那の事好きだねィ。
でもまぁ、相澤さんから団子貰ったんで今回だけはチャラな。」
「ったり前だろ！？銀時はな〜………」
最初と最後の言葉は無視して長ったらしく銀時の好い処を語り出した神月と此れで暫くは大丈夫かと溜息を吐いた沖田。
「…沖田さん、あれ、誰…？」
「飼い主に懐く番犬。」
「あぁ成る程、じゃねぇだろ！？」
簡潔かつ分かりやすく説明をしたつもりの沖田だが、未だ見慣れて居ない生徒達や相澤は何が何だかわからないようだった。
「銀時って人が彼奴の精神安定剤でさァ。要は禁断症状が遂に出ちまった。」
「あ、何となくわかった。って訳わからんわ！！！」
「ま、手前らも早く慣れるこった。」
ゲシゲシと未だ床に両腕を付けて項垂れている神月の背中を蹴り、旦那自慢は俺が聞いてやるから早く来いと生徒達と神月を遠ざける様に促した沖田だった。
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
