ちぐはぐコンビ (ページ37)

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81話初めての友人ページ37

※残酷な表現あり

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私は昔、父親と大喧嘩して兄と共に家を出て海賊になった。

其処で待ち受けていたのは酷い仕打ちだった。

まあ、最初はボロ雑巾の様に働かされた。女だからという理由で。
私は必死になって"生きる為"に働いた。何でもやった。何でも、だ。

少し経った頃、当時の団長に呼び出された私と神威は其々教育係をつけられた。

其れが私と呪いを遺して逝った友人との出会いだった。

「そうじゃない、そんなのも出来ないの？」

先ず教えてもらったのは銃の扱い方でもう散々に云われた。こんな事もできないのか、お前は一体何が出来るんだと。第一印象は言わずもがな最悪だった。

元々負けず嫌いな私は躍起になってどんどん色んな事を習得していった。
其の中で彼奴が副団長だと知った時は迚も驚いた。

「お前は一体何なんなんですか。」

一度そう問いかけた事があった。

彼奴は困った様に笑っていつかわかる日が来ると云った。当時の私は意味がわからないとおざなりに飲み物を机に置いたのを覚えている。

そこから二年くらい過ぎたある時、彼奴が余りにも思春期の娘に構う父親よろしくうざったく絡んでくるので私は友達いねぇのかよと云った時があった。

彼奴は、いた事が無いし、君みたいに私についてきてくれるのが居なかったと溢した。
「まあ、私しか着いてこれないでしょうね。」
と、強がりでそう返したものの実際嬉しかったんだと思う。

なんだかんだ云い乍ら私に色んな事を教えてくれて頭も撫でてくれた。骨とか心は何度も折られたけど、嫌いにはなれなかった。

私にとっては父親みたいで、初めてできた友人だったからだと思う。

だから壊れた。

「彼奴を殺せ。」

其のたった一言だけ、たったの一言だけで何かが崩れ落ちる音がした。当時の団長にそう云われた時は無理だと、必死に縋った。

数日前から見ていないなと思った姿は、呆気なく地に伏していた。目の前で拘束されてボロボロになっていた彼奴を見て私は団長に殺さないでと、殺したくないと何度も何度も訴えた。

だが現実は不条理で団長は彼奴が邪魔になったと、自分の計画の為に殺さなくてはならないと云う。
彼奴を殺さなくてはお前が死ぬ事になると番傘の先を心臓に向けられたあの時は恐怖が体を支配した。

初めて人を殺した時には感じなかった恐怖が私を襲った。