ちぐはぐコンビ (ページ28)

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74話千人力ページ28

「よォ、手前ら。ガキが夜の徘徊なんてお巡りさんに補導されやすぜ？」

病院の前に集まった緑谷達が云い争いをしていたところに俺が割って入ると全員が俺の方を一斉に見て名前を呼んだ。

「なァにがルールにギリ触れねェやり方だ、莫迦野郎。」

轟、緑谷、切島の頭をグーで殴った。

「ってぇ……でも神月さんだって捕まってます。」

「彼奴が簡単に捕まる訳ねェだろィ。警察の目を掻い潜って来たんでェ、何を今更。」

そう、彼奴が簡単に捕まる訳が無いんだ。俺の、俺たち真選組の目を掻い潜って旦那の元で暮らしていた神月が。

情報を漏らさない技術がパソコンの中のファイルにほぼ全て掛けられていてあのファイルしか開かなかった。

もし他のファイルを強引に開けていたら全てのデータが消滅していただろう。そう考えるだけでゾッとする。

「僕は手が届くなら救けたいんです。
あの時なにもできなかったんです、だから_____」

…俺には此奴らを止める権利も護る権利すらも持っていない。

此奴らを神月から託された、俺は此の任務を遂行する。只其れだけの話だ。

「私と飯田さんがストッパーとして同行いたします！！誰一人として怪我はさせませんわ！！」

「……何を勘違いしてんだ手前ら。俺は手前らを止めに来たんじゃねェ、護りに来たんでィ。」

ほれと声を掛けると切島が飛びついてくる。

其の他はぽかんと口を開けて俺と切島のやり取りを見ていた。顔がアホ面になってやがる。

「やっぱ神月さんの事心配なんすね！？」

「違ェ、殴りに行くだけでさァ。」

満面の笑みを浮かべた切島は俺が居ると千人力だと云った。
千人力どころの話じゃねェだろ、実際は。