66話 異分子の存在 ページ20
「…お前ちゃんと断ったんだな？な？」
よくやったと爆豪の頭をぐしゃぐしゃに撫で回す。
死柄木に敵連合の仲間に引き入れられる可能性が有った爆豪だが、どうやら此奴の信念は曲げられ無かった様だ。
「おい、だからその怪我何したんだよ…！」
撫でるのを辞めろと云いたげな様子で頭をブンブン振った後爆豪は有無を云わさ無い表情で私に聞いた。
「拷問だ。殴る蹴る刺す。」
「刺す！！？」
「ずっと笑ってたけどな。」
「あ、おいこら、私がドマゾみたいな事云うんじゃねぇよ。」
其れはあれだ、強く見せる為に笑えとお師匠に仕込まれたのだ。
あれ？本当に彼奴、友人兼お師匠かよ。
何回もあの人に殺されかけてたんだけど。
「おい坂田神月。お前”
唐突に会話に入って来た死柄木はニタニタと笑いながら聞いてくる。
凄く嫌な予感と云うか、玩具を見つけた時の子供みたいな。
「俺も先生から聞いただけで詳しい事は知ら無いが、お前そうなんだろ？」
私達が居なくともこの物語りは”正常”に進んでいく。
正しく、真っ直ぐに。
「存在自体が必要無い存在。」
「ふふっ、いやァお前の先生とやらは随分と頭がキレるようで。」
そんな事、自分が一番良く知っている。存在自体が必要無い何て事は。
自分自身が一番わかっている…。
でもまだ銀時と、新八と、神楽と、歌舞伎町の皆と居たかった。まだ皆と一緒にいたかった。
そんな感情を、気持ちを心の奥底に仕舞い込んで封印をした。
二度と開けられない様に閉じ込めて鉄壁の仮面を嵌めた。
其の時の私には”
「おい、説明しろよっ！！」
ガタンガタンと拘束されている椅子を揺らす爆豪。
悪いな爆豪。お前に全てを託す事になりそうだな。
「お前には余り関係のない事だ。」
大丈夫。お前は五体満足、無傷で帰してやるよ。
そう思った時、古びた扉をノックする音が聞こえた。
「…遅ェよ、莫迦。」
「どーもォ、ピザーラ神野店ですーー。」
私の呟きは壁が崩壊した音に掻き消された。
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
