63話 無事でよかった ページ17
「______馬鹿じゃなかったって訳だ。」
「あぁそうだ、私には毒、効かないと思うよ？」
象が即死するレべルの毒はまぁ、分からないが多分効かない。
何たって象が一瞬で膝を着く様な毒ガスを受けても立っていた人間が居るからな。
「試してみる価値はあるだろ？」
「はは、だから意味ないってのっ！」
肩の関節を一旦外して拘束されている腕を前に持ってくる。私は外した関節を背もたれではめた。
そして手錠を粉砕した。
「…いつでも逃げられたって事か。」
「爆豪の所へ連れて行け。」
肩をぐるりと回し異常が無いか確認する。
義手も左腕も無事、大丈夫だ。
”此れ“は上手くいく。
継ぎ接ぎが開けた古びた扉。此処はバーか何かだったのだろう、酒が棚に陳列していた。黒霧、であろう奴がワイングラスを拭いて居るのも此処が元バーだと証明できる。
「な、なんで、てめぇが…！」
爆豪の顔には焦りと驚きが入り混じっていた。
粗方私が如何して此処に居るのかと云うのと、何故こんなにもボロボロなのかと云う事だろう。
「よっ、爆豪。無事…だったみたいだな。」
拘束はされて居るものの見た感じ怪我は一切無い。
私がボロボロになった甲斐があった。
「てめぇが無事じゃねぇだろ…っ！」
体から止め処なく流れ落ちる鮮血に爆豪の顔が歪む。
いやまぁ実際途轍も無く体が痛い。
椅子に長時間座らされてたからかな。筋肉が固まった…。
「無事だよ、無事。抑も私は爆豪達、生徒を守るのが役目だからな。」
やれやれと云ったジェスチャーをすると爆豪は眉間に眉を寄せる。
「死柄木弔。お前との交渉は決裂した訳だが如何だ？」
カウンターの椅子に腰掛けて居る死柄木に向かって話をする。死柄木は少々呆れて私の方は見ずにこう云った。
「…実は人外だろお前。」
と。
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
