61話 交渉 ページ15
小枝を踏み付け、草を分けて歩く。
こんな森の奥までたった一人で出向いたのは二つ理由がある。
一つ、此の襲撃事件を終結させる為
二つ、生徒の”命”の保証
大きな駆け引きがあると教えていない沖田は怒るだろうな。否、怒るのは沖田だけじゃないか。
「やァ、こんな森に何か用があるのか？”死柄木弔”。」
「……っ！？何でお前がここに…！！」
「はは、考えてみれば簡単だ。
お前は案外目立ちたがり屋だ。自分が起こした事件は自分で見たいだろうなァと思って。」
実を云えば可能性は五分五分で賭けたのだけど。
死柄木弔には多分強力で随分と賢い指導者が居る。
まぁ、黒霧は死柄木の制御をして居る上に対等な関係に無いと判断し、指導者候補から排除した。
「…お前は例の化け物か。」
お前の所為で計画が狂ったと首をガリガリ掻き始めた死柄木弔。
「化け物って呼ぶなよ。そんな生温い通り名何て要らない。」
海賊時代では、”悪魔”と呼ばれて居たから。化け物は唯の生物で悪魔は神にも並ぶ事ができる。
生物と神を比べれば圧倒的に神の方が強い。
「で、化け物こそここに何の用だ？」
「……死柄木弔と交渉しに来た。」
死柄木弔の顔を覆って居る手から覗いた不気味な笑みを見て此方も笑った。
「此方の提示する条件は二つ。
一つ、お前の仲間の撤退。
二つ、生徒達の”命”の保証。」
指を二本立てて私は死柄木弔に向かう。
此奴の指導者は本当に頭が切れる。
其れ故に目の前の此奴に何としてでも雄英の襲撃を成功して欲しいんだなと思う。
否、雄英ではなくNo. 1ヒーローの八木を恨んで居る輩の仕業か。
「こっちのメリットが無い。」
其れなら_______
「私が其方へ行こう。」
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作者名：終夜 | 作成日時：2019年1月22日 2時
