ちぐはぐコンビ (ページ14)

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60話肝試しページ14

「肝を試す時間だー！！」

”クラス対抗肝試し”を行うと意気込んでいた芦戸含め補習者は相澤に引っ張られて行った。
あぁ、可哀想にと引っ張られて行く補習組を見て残された生徒達は思った。

クラス対抗肝試し、要はどちらのクラスがより多くの生徒を驚かせられるかを競う。

神月は割とどうでも善い上に面倒臭いと云い残し一人、何処かへ消えてしまった。

「緑谷、手前と同じ番号みたいだねィ？」

「おおお、沖田さん！！お、お願いします…！」

ニヤリと笑う沖田に緑谷は自分の身を案じていた。なんたって彼は超がつくドSだと云う事が過ごしてきた中で判ったからだ。

くじ引きによって決められたペア、沖田はA組にカウントされていた。

そして始まった肝試し。

悲鳴や絶叫が順番を待っている己の耳にも届く。

「これ本当に大丈夫ですかね！？」

「だ、大丈夫でィ、多分、うん。」

沖田自身も幽霊には余り善い思い出が無い。

例の蚊の天人の時は全力で逃げていた。

其れからは緑谷と世間話、なるものを話していたのだが沖田はいち早く異変に気がついた。

「待て……こりゃ、焦げた、匂い…でさァ。」

鼻をすんすんと鳴らし、匂いを嗅ぐと火事の類の匂い。そしてすぐ後に立ち込める黒煙。

沖田は瞬時に理解した。神月が何故居なくなったのか。こう云う”楽しい遊戯”には参加する神月が居ない。

よくよく考えれば今日教えられた幾多もの戦闘パターン……

考えて居なかった訳では無い……最悪の展開が、最悪の方程式が頭を駆け巡った。

「沖田さん？」

「……っ！！」

あ、拙い。そう思った瞬間の事だった。

「飼い猫ちゃんは邪魔ね。」

其の声と同時に吹き飛ばされたピクシーボブ。

「…緑谷、洸太の所へ行ってくだせェ！！早く！！」

「……分かりました！！」

此れは拙い事になったと沖田は焦った。

沖田は何方かと云えば肉体派、現場で判断し、即座に対応するタイプの人間だ。

今は己の判断を信じて刀を構えた。

「マンダレイ、でしたよねィ？あんたの個性、テレパシーを使って全員に伝達頼まァ！！

肝を試す時間だ何だって云ってやがったが、本気で肝を試す事になるとは……彼奴判ってやがったな。」

「沖田くん！私たちの事はいいから、生徒達の保護へ！！」

「……っ…了解しやした。」

其の場はマンダレイ達に任せ、沖田は真剣を納めて走り出した。