47話 羨ましい ページ50
「ね、ばあちゃん。」
何時もの様に義手のメンテの為に保健室まで来ていた神月はリカバリーガールに問い掛ける。
「此の世界は好いね。
恋も友情も、何だって自由だ。」
彼方の世界ではまともに自分の友人すら自由に作れなかった。
「神月、あんた……。」
「家族も友達も居て、安心して眠れる夜があって、私此処に来て初めて体験した事沢山在った。」
目を丸くしたリカバリーガールに義手の手首をクルクルと回す神月は自分の義手じゃない方の手でピアスがしてある耳を触った。
神月は只、只願っただけだった。
自分も、彼等の様に家族が居て、友達が居て、恋をして、
本当は普通の生活を、人間の様な普通の人生を、母が愛した美しい地球で、そんな人生が送りたかった。
何にも追われず、人も殺さず。
只、其れだけでよかった。
「……メンテ有難う。又頼む。」
影が差した顔を瞬時に上げてにぱっと笑った。
本当は神月の心は壊れてしまいそうだった。
酷く崩れている心を無理矢理、継ぎ接ぎに留めているだけ。
神威は其れを分かった、否分かってしまったのだ。
一番長く、内面が脆い自分を隣で支えて、信じてくれたからこそ、神月には幸せに成って欲しいと神威は願ったのだ。
だから、神月が銀時達の所に行くのを引き止めなかった。
神威は、神月に再会した時に莫迦だと云った。
全てを背負おうとする自分の妹を見て。
「何であんたは抱え込もうとするんだい…。」
悲しそうなリカバリーガールに柔らかく微笑んで神月は云う。
「前も云ったでしょ、守りたいから。」
せめて殺してしまった生命の為に。
沖田と初めて会ったのは十五歳の時。
たった、たったの十五歳、部下をめのまえて皆殺しにされた沖田は当然神月を恨んだ。
命令だから仕方なかった、では済まされない。
未だ死には免疫が無かった頃の沖田だ。
恨まれて、憎まれて当然。
だからこそ、死んで逝った彼等が守ろうとした沖田を守る。
『絶対ェに殺してやる。』
あの瞳を見たく無いから、皆を幸せにしたかったから。
何て綺麗事にすぎないよな。
そう、心の奥底に気持ちに、感情に鍵を掛けた。
ーーーー
続編に遂に行ってしまった…
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
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終夜(プロフ) - ありがとうございます！更新は遅くなると思いますが、なるべくあげられるよう頑張ります！ (2018年11月16日 21時) (
レス) id: 7b6e0d6279 (このIDを非表示/違反報告)
雨(プロフ) - 沖田君と神月ちゃんのやり取り好きです！これからも更新頑張ってください！ (2018年11月16日 19時) (レス) id: e3333da4ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：終夜 | 作成日時：2017年8月23日 13時
