43話 新たな一面 ページ49
「みなさーん！森然高校の父兄の方からスイカの差し入れでーす！」
「はいはい、並んで〜。」
他のマネさんにも手伝って運んでもらって選手たちを列に並べさせる。
影山と日向はどちらが先に食べれるかと競争していたので二人に私は食べ物で遊ばないと釘を刺した。
一通りの配り終えると黒尾と澤村が私の所にやってきた。
「茅ヶ崎、悪いんだが月島にスイカ渡してくれないか？茅ヶ崎の言う事なら多分聞くと思うんだ。」
「茅ヶ崎〜、こっちも研磨にスイカ渡して〜。」
「あぁ、うざがられたんだね。わかるよ、近所の構ってくるおじさんってうざいんだよね〜。」
咲也に構ってるお兄ちゃんって近所のおじさんみたいなんだよね。こう、お小遣いあげるからうちにおいで〜的な？と黒尾に言うとお兄さん泣くぞと苦笑いで返ってきた。
それを見た澤村は二人って不思議だよな〜と言ってくる。
私からしたら澤村と孝支くんの熟年夫婦感の方が不思議だよ。
「なんか、独特の雰囲気があるよな。」
きょとんとして黒尾と顔を見合わせれば黒尾がアイコンタクトで面白いことやろうぜ的な事を訴えてくる。私もそれは面白そうだとアイコンタクトした。
「実はな澤村くん、俺たち、前世で夫婦だったんだ…！！」
「…ふっ……そう、あれは江戸時代…私は呉服屋の長女で病気がちだった…。ある日護衛にと就けられた黒尾と恋に落ちてしまったの……！！」
「あぁ、二人で駆け落ちしようとした………」
黒尾がそこまで言おうとした所で後ろから誰かに引っ叩かれた。
「お前らはアホか！！！なんだよ前世って！！なんだよ夫婦って！！！
ごめんな澤村、こいつらにはきつく言って聞かせる。」
「「あぁん、やっくん酷いわぁ！！」」
「キモッ！気持ち悪い！！！」
もう一発引っ叩かれた時にまあまあとやっくんの後ろから孝支くんが出てきて宥めてくれる。
背後に般若を背負ったやっくんから逃れるように私はスイカを持って端の方に座っている二人の所に避難した。
まぁ、簡単に避難できるわけもなく、黒尾は裏切り者よぉ！と叫んできた為に私はテヘペロをかまして自分が走れるスピード限界まで走ったのだった。
「ほんとごめんな、澤村。」
「いやいいんだ。茅ヶ崎の新たな一面も見られたしな。」
「やだ、澤村くん抱いて！！」
「黙ってろパニーニ！！」
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作者名：終夜 | 作成日時：2017年7月18日 14時
