28話 休む理由 ページ33
「夜久さぁあん！」
「うるせぇ！！」
飛びつくリエーフに回し蹴りを食らわす夜久とそれをニコニコ見ている海。
いつもの練習風景の中には一人だけいなかった。
「あ、あの、遥さんって部活来れないんですか？」
”今日も”休んでいる遥を心配するリエーフは本気で何かあったのではと夜久に聞いた。
「あ〜？体調不良だろ？」
同じクラスの夜久と黒尾は遥が来ていない日は担任に確認しに行く。
どうして休みなのかを。
なんであんなに休んでも留年しないのかと夜久は愚痴を零していた。
「リエーフ、茅ヶ崎は中学の頃から休み多かったぞ。」
話の途中から入って来た黒尾に肩をビクつかせた夜久。
「え？中学？同じ中学出身なんですか！？」
「おーおー、茅ヶ崎とは中学から一緒だな。」
へぇ、知らなかったなと言う海と夜久は黒尾になぜ他人行儀だったのかを聞いた。
「いや、まぁ、口止めされてたから…？」
口止め、で納得した三年生二人と訳がわかっていない一年生。
補足として海が性格の事ね、と言うと納得していた。
「あの、俺も口止めされてた事があるんすけど…」
会話に再び入ってくる者がいた。
「山本が？」
山本である。
「実は……俺、遥さんが海外行くこと知ってました。」
は？と声を漏らす三年生組は山本に詰め寄って話を聞く。
「『みんなの事、よろしくね』って言ってました…
『来年入ってくる一年生の面倒も、研磨達の面倒も、虎に任せる事になるし、黒尾達の事も支える事になる。
だから私が、戻ってくるまでバレー部は頼んだよ、虎。
でも、頑張り過ぎちゃ駄目だかんね？』
って遥さん笑ってました…！」
その話を聞いて目を覆う三年生組。
「くっ、茅ヶ崎が大人になってる…！」
「そこっすか！？」
嬉し涙を流す三人に山本がつっこんだ。
リエーフは、俺も早く頼られるエースになりたい！と意気込んでいた。
「おい〜っす、遅れました〜。」
ガラリと遥に開けられた扉。
遥が入って来た瞬間に飛びつきに行った三年生を見て山本含め全員が仲良いな、と思った。
「えちょ、何で泣いてんの！？」
「大人になったな〜…！」
「えなに、急に何だよまじで…！怖えぇわ！」
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作者名：終夜 | 作成日時：2017年7月18日 14時
