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27話 我らが有能マネは… ページ30

「遥、ほんとにリエーフ無理」


練習を開始して一時間。汗を垂らしてフラフラな研磨が私にそう言う。


「け、研磨さぁあん!」


フラフラな研磨の後ろを慌てたように追いかけてくるリエーフに私は察してしまった。


「お、俺だって頑張ってるんですぅ!!」


「はい、リエーフちょっとおいで」


ギャンギャンと吠えているリエーフに一発蹴りを入れてからフラフラな研磨にタオルとドリンクを手渡してリエーフの首根っこを掴んで引きずっていく。


「ん?あれ?どったの茅ヶ崎」


「ん〜?ボール出ししてけど研磨がリエーフ無理っていうからさぁ」


珍しく海とペアでサーブレシーブの練習をしている黒尾のところまで行き、ボールを受け取ってそこで見ているように告げる。


黒尾はリエーフを引っ張り起こして茶化すように笑って言う。


「お?もしかしてお前が”トス”打つ?」


「お〜、二人でリエーフのブロックして」


黒尾は少し考えておぉ!と声を出した。


「成っ程な!さっすが我らが有能マネ!!」


「はい、うるせー」


ニコニコしている海と嬉しそうに笑う黒尾に?を浮かべているリエーフだった。


ーーーー


「リエーフ、まずは高さみるから」


「遥さんできたんすかバレー!?」


リエーフにボールをもたせて自分は手首を二、三回回して首を捻る。


「あーね、つか早くしろ」


少し睨むとこっちにボールを投げて走った。


周りはスパイクを打つ音、レシーブする音、靴が体育館を擦る音、色々な音が響いていた。


リエーフはチラリとこっちを見る。


そして自分の指にボールが当たる、”昔”の感覚を思い出せ、蘇らせろ。


”あの時”の光景がフラッシュバックして周りと溶け込む。


手首のスナップをきかせボールを弾く。


「………!!?」


ポンポンポンとボールが床に落ちる音が聞こえた。


「あ〜、すまんな。低かったわ」


「あ、いや、あの……」


何回かあげたボールはリエーフの手にあたることなく落ちた。


「うっし、次はいける」


私は頰をぱしんと叩き気合を入れ直した。


ーーーー


「いや、俺お前が怖いわ」


「ハイスペックすぎて?」


「くっ!…成敗じゃぁあ!!」


結局、二十本全部リエーフのスパイク止められたけど多少は打てるようになったと思う。


ヘッタクソなリエーフのこれからの成長と研磨の苦労を考えて私は笑った。

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作者名:終夜 | 作成日時:2017年7月18日 14時

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