25話 心配してくれる友達がいるだけでありがたい ページ26
「いやぁ、すまんな」
「二日間来ないからみんな心配してたんだぞ？」
海を筆頭に教室に行けば朝は毎日集まっている三年生全員にそう言われた。
話は後輩の事だとか、練習メニューの事で一区切りついたところで私は彼らに話を始めた。
「あのさ、これから私いい子ちゃん辞める」
は？と声を揃えて言われる。
さて朝練に行こうかと教室を出る頃にそう言ったので全員が一旦止まって私の方を振り返った。
ほら立ち止まらずに！と声をかけてみんなが着替え終わるまで自分の仕事をしていた。
「つまり、部活の時だけ素の自分でいると？」
「そういうことだよ、やっくん」
「俺はいいと思うよ。そっちの方が」
「研磨ぁぁぁあ！！」
やっぱりいい子だなぁと頭をなでなでしていると黒尾が俺には反抗期なのに！？と叫んでいた。
「練習せんかい！！」
短い朝練の時間に茶番をかましていたら、監督の怒鳴り声が聞こえたので各自そそくさと練習に戻って行った。
「さて、遥。ちょいと話がある」
「……なんでしょう」
猫を思わせる鋭い目で見られて少し体がこわばる。この人と対峙すると何も隠し事ができなくなるような気がする。
「遥、俺に隠し事があるな？」
「……誰にだって隠し事の１つや２つはありますよ」
目を細められこちらをじっと見られたので少し笑いながら返す。
私は彼に、病気の事は言っているがいつまで生きられるかは何も伝えていない。
「至から聞いたぞ」
「……！！？」
「……まぁ、ここでは公に言うのは良く無い。ただ、俺は知ってる。一人で抱え込むのはやめておけ。まだ子供だろう、な？」
笑いかけながら頭を撫でられるが私は何も言葉が出なかった。頭が真っ白になった。
この人には昔から心配を沢山かけていたのに今更心配の種を増やしてしまったと泣きそうになった。
ーーーー
「あれ、なんの話してんだ？」
「…夜久さん、絶対聞いちゃダメだと思う。遥の顔、泣きそうだから」
「そーそー、野暮に聞くもんじゃないぜありゃ」
「…！俺らになんか大事な事隠してるんだろうなとは思ってたけど……はぁ…」
「先輩ーー！！練習しないんですかーー！！？」
「リエーフ話の邪魔」
「研磨さんひどい！！」
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作者名：終夜 | 作成日時：2017年7月18日 14時
