1話 インターホンが出てこねぇ ページ2
「____帰って来た…日本!!」
長い柔らかな髪を風に靡かせながら、長い手足を振って歩いて来た彼女は周りの視線を集め、空車のランプがついているタクシーの窓を叩いた。
「すいません、乗っても?」
「あ、あぁ、空車ですよ!」
「あ、そうですか!じゃあ天鵞絨町の満開カンパニーまで、お願いします。」
彼女は運転手に爽やかな笑顔を見せタクシーの中に乗り込んだ。
「…天鵞絨町に観光ですか?」
「あ、いえ、帰って来たんです。」
窓枠に肘を置いて窓の外を眺めていた彼女にタクシーの運転手は話しかける。
「あぁ、お疲れ様です。飴とか如何です?」
「ほんとですか?ありがとうございます。」
語尾にハートをつける勢いで運転手にそう言うと運転手も少なからず彼女に見惚れた。
そして彼女は満開カンパニーへ向かった。
ーーーー
「ありがとうございました!」
「いえいえ、またのご乗車お待ちしております。」
そして発車していったタクシー。
「さてと、丸め込むか。」
ニヤリと不敵な笑顔を浮かべた彼女は劇団寮のインターホンを押した。
「はーい、どちら様でしょうか?」
インターホンを鳴らし出て来たのは女性だった。
少なからず彼女は驚いた、女性がいる!!と。
「.…えっと、茅ヶ崎至はいらっしゃいますか?」
「…至さんとはどう言うご関係で?」
「茅ヶ崎至ご本人を出していただければわかります。」
ニコリと笑って彼女はそう言うと少し見惚れた女性はハッとして頭を振り、怪奇な表情を見せた。
「…申し訳ないけど怪しい人とうちの劇団員を会わせられません。見た所貴方未成年でしょう?」
「あ、いや……」
やはり通じないかと、事情を説明しようとしたその時、
「監督ちゃん?どうした?」
茶髪のワンレンが監督と呼ばれた彼女の後ろから出て来た。
「あ、万里くん。この子至さんを出せって言って.…」
「あー.…うちそう言うのダメなんで。」
聞こえないようにため息を吐きニコリと笑いこう言った。
「茅ヶ崎遥です、茅ヶ崎至の妹です。」
そして劇団寮には二人の声が響いたとか。
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作者名:終夜 | 作成日時:2017年7月18日 14時