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ヒラッとドレスの裾が捲れる。
壇上から
コツン、コツン、
ヒールの音がシンとした空間に響く。
ゆっくり、ゆっくりと降りる。
ものの数分、A以外誰も動かず、瞬きもせず、みいっていた。
今まで、是衣財閥はAの存在を露にしてはいなかった。
しかし、Aが16歳になった今、つがいとなる相手を貰わなければならない。
ならば、今。今しかないのだ。
「─────是衣、Aです」
凛とした声が透き通る。
会場にいる皆が、物が、全てが、彼女を引き立てる物となっている。
大きくクリッとした瞳、日に当たったことがないような白い肌、それによく形の整った苺みたいな真っ赤な唇。
それだけでも良いのに彼女の身に付けているピアス、ネックレスがキラキラと光り妖艶と笑う彼女をまた、目立たせる。
御披露目パーティーに着てくるとは思わない程の真っ黒なドレス。膝より少し下まである長さ。否、もうそんな事はどうでもいい。
────彼女が欲しい
女だって、そう思うほど。
神をも魅了する程の容姿。
きっと、彼女が望めば何でも手に入るだろう。富も、名声も、人の命も。
死んだ人間も____...
「...この中にいる者の中から、Aの
Aの父、
誰もがAの隣にいる存在になりたいと願うだろう。
是衣財閥は世界にまでグループがあり、強い力を持っている。
それに加え、Aと言うクレオパトラより美しいかもしれない女性まで手に入るとなれば...。
言わずもがな耳を貸すだろう。
「決める方法は、わたくしが決めます。
私が出す問題に答えられた男性と私は夫婦になります」
問題...！？と一瞬会場がざわつくがAがコツッと一歩踏み出せば瞬く間に静かになった。
早く、早くと問題を急かす。
当たり前だろう、これまで美しい女性をこの会場にいる誰かが貰えるから。
誰にでも権利はあるから。
「因みに、この様子は世界的にTVへ撮されています。世界中の何処かにいる誰かがわたくしと夫婦になるのです────」
まるで、かぐや姫のような輝きをもつ女性の悲恋物語──
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作者名：今昔 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年6月19日 20時
