第２話 ページ2
「ッ___！！
触るなッ人間風情がッ！！！」
バシッ＿＿
添えられた手を力いっぱい叩き落した。相手の顔は分からないが甲高い悲鳴が聞こえる辺り女性であろう。私には火に油を注ぐ行為で、その心配は事態を悪化させるだけだった。
無理やり足に力を入れ立ち上がり闇雲に走った。背後から何か声を掛けられたが体は走ることを止めない。大通りに近い歩行者道路を全力疾走で走るなんて私だけでだいぶ目立っている。過ぎる人々みんな好奇な目を向けている。
取り敢えず、すぐ横の脇道に入り、入り組んだ細道に入ってやっと足が止まった。喉が渇いているのが分かる。溢れ出てくる涎が渇いた粘膜を引っ張りながら食堂を通っていく。脇腹も痛い。強い力で抓られているような感覚に耐えられずその場にへたり込む。
「なんで…なんで……。
なんでこんな事に…。
結局、ダメじゃん。何やったって…家には帰れないじゃんッ＿＿」
目尻がぶわぁ＿と熱くなり涙が溜まってしまう。呼吸がしゃくり上げるようになり、段々と苦しくなる。唇を噛み締めて声が漏れないようにするが、鼻水を啜る音と嗚咽する音を抑えることは出来なかった。
？？「迷子なの？
大丈夫だよ。お兄さんが家まで送ってあげる」
「……ぇ」
弾かれたように上を向く。
「ッ＿＿！！？
誰だ！！お前！！！」
反射的に距離を取る。赤い翼が目に付く。大きく立派なその羽は黄昏の赤に似ている。ゴーグルを着けた彼の瞳は薄暗い路地でも力強く芯のある色を見せていた。
誰だ、と問えば彼は少し拍子抜けしたとでも言うように＿
？？「え…誰って、
俺のこと知らない？」
「………知らない」
どこかで会ったことあるだろうか。
「……アンタ、何がしたいの。
返答次第では、
私はアンタを攻撃対象とみなす」
手のひらを上に向け、意識を集中させる。すると、どこからか光が集まってきて一箇所に陽炎ができる。
段々と形がハッキリとしてきて、それは、一本のペンになった。頂点に親指ほどの宝石が施され、美しいとはまた別の輝きが相手の心を虜にする。緑色がかった青、青緑、深緑、すみれ色や深紅、赤紫、紫、黄色……多色な色合いが一つに凝縮され、この世の物ではないと全感覚が訴える。
異様に放たれる神々しい威圧がそれから伝わる。それは威嚇か、はたまた歓迎か…。
ゆっくり握る。手に馴染む感覚が心地よい。
「お前、何者だ」
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作者名：(仮)複数名前保持者 x他1人 | 作成日時：2022年12月5日 0時
