__懐中電灯 2 (ページ5)

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"ごめん、話しすぎた"

そう言ってベット近くの椅子から立ち上がって窓の外を眺める忠義さん。

『いい。』

忠義『え？』

『このまま、話しといて下さい』

忠義『え、、いいん？』

『なんか、今なら聞けると思う、』

忠義『・・そっか。』

優しく笑ってまた椅子に座りなおす。

忠義『ただの再婚やったらな、
俺も成人してる訳やし、別の所住んで関わらへんでいいって思っててん。

けど、あの日、初めてAちゃんに会って、再婚相手の人に子供がおるって知って、関わらへんって言う
選択肢が無くなってん。

やから、無理して2人と仲良くして
Aちゃんの事、聞きたかった。

けど、一向に2人の口からAちゃんの名前は出てこんかったわ。

Aちゃんの表情、
昔の俺にそっくりやった。

どこか寂しそうで、
でも強がってて。

そんなAちゃん見てたら
耐えられへんくなってもぉてん。』

『同じ。』

忠義『同じ？？』

『全部、同じ。

昔から男グセ悪くて、わがままで自分勝手で、すぐ怒鳴って。

お父さんが愛想つかして出て行ったのも全部一緒。

再婚するって聞いた時も
どうでも良かったんです。

家族はお父さんだけで良いって
思ってました。』

忠義『Aちゃん、
お父さんの事好きやったん？』

『好き・・でした。
優しくて、いつも背中押してくれてて。』

忠義『じゃあさ、
お父さんと暮らそうって思わんかったん？俺みたいに片親だけになった訳じゃないんなら。』

『お父さんと暮らそうと思いました。

お父さんの所にいけば、
あの人から解放されるって思って、

でも、どれだけ探しても、
お父さんは見つからなくて。

マスターも分からないって。。

会いたくても、会えないんです。』

忠義『そうなんや』

『私の家族は、お父さんだけやってずっと思ってるんです。
だから、忠義さんの優しさにも
なかなか応えれないんです、』

忠義『……』

『すいません。』

忠義『謝らんといて？
俺も急にあんなん言うてごめんな？』