__懐中電灯 2 (ページ4)

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忠義『Aちゃん？大丈夫？』

『あっ、はい。』

忠義『ごめんな、』

『いえ、
ありがとうございます。』

忠義『・・なんでお礼？』

『・・初めて、怒ってくれたから。』

忠義『え…？』

『今まで、理不尽に怒鳴られた事しか無かったから。』

忠義『そうなん、や。
でもな、Aちゃん。

生まれて来ぉへんかったら良かった、
なんて絶対思ったあかん。

生まれたくても生まれてこれへんかった命の分まで、生きなあかん。』

『……すいません。』

忠義『Aちゃん、
俺と話してくれへんかな。』

『・・・』

忠義『・・俺もな。

初めはAちゃんと同じやった。

勝手に親が再婚して、今更母親なんか要らんかったし。

うちの両親な、俺が14歳の時に離婚してん。

親父の浮気が原因で。
しかも1回、2回じゃないねん。

それで愛想尽かしたオカンが俺も置いて、その後事故で亡くなった。

やから、俺は親父が嫌いやったし、
まだ中学生やったけど、とことん親父を恨んだ。』

初めて聞いた、忠義さんのこと。

うちと一緒や。

偶然なのか、必然なのか。

今なら忠義さんの話も入る気がする。