リナリア［短編集］

初恋 〈ツリメ〉 ページ23

「お願いがあるだけど。」

放課後ツリメに頼まれたのは、１番引き受けたくないお願い。

「３組の○○ちゃんに彼氏いるか聞いてほしいんだよね。」

『それ、もしかして…？』

「彼氏いなかったら俺、告ろうと思う。」

『なんだ〜それならこの私に任せなさい！』


なんてヘラヘラしたけど、本当はそんなお願い聞きたくない。

だって、ツリメは私の初恋だから。


＿数日後＿

聞くことは聞いた。

彼氏はいた。

このことを喜んでいいのか…


『あのね、○○ちゃん彼氏いたって…』

「そっか…あ、ありがとう…

俺先帰るわ、じゃな!」


ツリメのそんな顔、見たくないよ。


『…待って!』

「えっ…？」

『ツリメの落ち込んだ顔、見たくない…

こんなときに言うのもあれだけど…

私の人生で初めて恋したのはツリメなんだから
…!』

「A…？」

『ツリメにお願いされたとき、本当は嫌だった。

○○ちゃんに彼氏がいなかったって聞いた時ちょっと嬉しかったけど、ツリメの落ち込んだ顔みると申し訳なくって……』

「もういいよ(笑)

俺もう落ち込んでないから。

さ、帰ろ？」



初恋、叶わないかもしれないけど


またいつもみたいに隣で帰られる喜び。




今日は夕焼けが綺麗。

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