リナリア［短編集］

内緒 〈ジロー〉 ページ14

＿ジローside＿

今、お姫様抱っこ中。

そのお姫様はA。

あんまり喋ったことはないけど、

いかにもTHE・女子高生って感じで、

しばしば色んな噂が流れてる。


次の授業が移動教室で、俺らが好きな単元だったから、みんなそそくさと教室を出ていってしまった。

俺は日直だから最後まで残って教室の鍵を返しにいかないといけない。

あー。せっかく早く行けると思ったのに。


でも、もう１人教室に残っていた。

それがA。


「あれ、まだ１人いたか。」

『うん。トイレ行ったらもうみんな移動しててびっくりだよ。』

「ほんとこの時間だけは早いんだよな(笑)

ってか、なんかお前顔赤くねぇか？」

『ちょっと…具合悪くしちゃったみたいでね。

私も好きな授業だから!

ジローくん、いっしょに行…(ﾊﾞﾀﾝ)』

「お、おい!大丈夫か!？」


急にAが倒れてしまった。

教室にいるのは、俺だけ。


ここはやっぱ助けない訳にもいかなくて。


「…立てるか？」


そう聞いても全然反応がない。

ただ、わかるのは荒々しい息と額の汗。


しょうがねぇなぁ。


俺は勢いよくAを抱き上げて

そのままお姫様抱っこする形で

保健室までの階段を降りた。


力が入らないのか、白くて細い腕をだらーんと下げて、少し唸っている。


近くで見れば、本当に可愛らしい顔をしていると思う。


変態と思われるかもしれないけど

比較的長いスカートから見える白くて女の子らしい足が綺麗で。


そんなことを思っていたら、保健室に着いた。




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