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第三十九話「努力 未来 a beautiful star」 ページ40

我々が進級してから一ヶ月は経過した。夏油の離反が九月頃でそこから産土神任務が八月頃にあると仮定すると、たったの三ヶ月しか猶予がなかった。産土神の等級は一級、それに対して我々は二級。現段階の我々では到底敵わない相手である。

だからこの世界でのイレギュラーである私が頑張らないといけないんだ。
推しの生存ルートを目指して。

その日から私は土地神任務への下準備を始めた。

肉体強化のためのハードなトレーニング、呪力を円滑に循環させるための特訓。任務と学業の傍ら、ひたすら己の肉体を追い詰めるかのように鍛え続けた。
その為か疲労で倒れたり怪我で運ばれたりと頻繁に医務室を訪れるようになった。「無茶し過ぎ」「たまには体を休ませろ」「死ぬつもり?」
来る度一言忠告をしつつ治療をしてくれる彼女に、ただひたすら「平気です」と嘘をつき続けた。

ひと月、またひと月と時が進む度に焦燥感に駆られるように自主トレーニングが過酷になっていく。時には睡眠時間も削って、疲労からも目を背けてひたすらに鍛えて、鍛えて、鍛え抜いて。
同期の二人からも「根を詰めすぎでは?」「休んだ方がいいよ」と心配されるようになった。その度「大丈夫です」と誤魔化し続けた。

どれだけ体がボロボロになろうとも、どれだけ心が擦り切れようとも、もはや拷問と化した鍛錬を止めることはなかった。止められなかった。今ここで妥協をすれば、きっと後々公開することになる。そんな事になるくらいならいっそ身体を壊すくらい無茶してでも強くなりたかった。


こうして焦燥感に溺れ、周囲に心配をかけながら日々を過ごしていくうち、あっという間に三ヶ月もの月日が流れた。





任務当日。
とうとうこの日がやって来た。やって来てしまった。でも覚悟はとうに決まっていた。この日に向けてひたすら研鑽を重ね、自分の肉体をいじめにいじめ抜いた。三ヶ月前より格段に強くなっていることは自分にも分かる。
忘れ物はないかウエストバッグの中を何度も確認して腰につけると、姿見の前で自身の姿に目をやる。メガネでは隠しきれないほどの酷い隈が出来たその顔は、心做しか不安げな表情を浮かべていた。

……大丈夫だから。
両手でパンと頬を叩くと玄関へと向かうと、スニーカーに足を通し紐を固く結んで立ち上がる。



「……いってきます」



誰からの返事も帰ってこない部屋に一言投げかけて、私は部屋の外に出た。

第四十話「いきなり顔面黄金比!(いきなりステ○キ)」→←第三十八話「火で炙ると文字が浮び上がるトリックあったよね」



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人造人間名無し号(プロフ) - りり兄さん» ありがとうございます!マイペースに更新していきます! (10月31日 7時) (レス) id: 302ec2dd68 (このIDを非表示/違反報告)
りり兄(プロフ) - 最高です!!まじ応援してます!更新がんばってください…!o(^-^)o (10月30日 14時) (レス) @page37 id: f01e3b9817 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人造人間名無し号 | 作成日時:2023年8月25日 15時

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