第三十八話「火で炙ると文字が浮び上がるトリックあったよね」 ページ39
その日の晩、自室にて。ベッドの上に仰向けに寝転がりながら、私は手渡されたあの手紙をまじまじと眺めていた。裏、表、何度ひっくり返して確認しても白紙のまま。もはや手紙と言えるのか怪しいレベルの代物だ。白紙の面としばし向き合っていたが、やがて無駄だと判断しため息をついた。
この手紙の差出人は“私”だと甚爾くんは言っていた。しかし“私”は何故この白紙の手紙を私に送ったのだろうか?白紙である意味とは何なのか?そもそもこの手紙に意味など____。
もしかして私以外に見せられない、見せたくない文面だった?
ハッとした。恐らく“私”から私に当てられた手紙の内容は十中八九この世界のメタ的内容について。しかしこの内容を伝えるには問題点が存在する。それは第三者に見られる、聞かれる可能性があること。その事態を避けるためには第三者から見られない、聞かれない状況にしなければならない。どうやって?
脳内に浮かび上がった可能性に確信を持たせるため、私はこの手紙にそっと呪力を流し込んだ。
私だけが見られるようにする方法。
それは私の呪力に“だけ”反応して文字が浮び上がる様に細工を施した手紙を用意すること。
少しずつ文字が浮び上がり文字列が、手紙が完成した。
内容はただ一文。
“五条悟はお前が殺した”
ドッと心臓が跳ね、背中に嫌な汗が伝った。
五条悟は、私が殺した?馬鹿言うな。奴は特級で私は二級、天と地ほどの実力差があるんだぞ。
でも私をおちょくる為に、その為だけにこんな回りくどい解読方法の手紙を作ったのか?そんな訳が無い。何か必ず理由があるに違いない。が、今の段階ではまだ分からないことだらけだ。
でもこの段階で言える事が一つだけある。
伏黒夫妻の生存、この状況を作り出したのは紛れもない“私”であるということ。
原作と違う点全てにおいて“私”が絡んできている。すなわち原作改変を行える力が私にはあるということだ。ならば今の私がやるべき事、それは____迫る産土神任務に向けての自身の強化であった。
第三十九話「努力 未来 a beautiful star」→←第三十七話「差出人」
84人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
人造人間名無し号(プロフ) - りり兄さん» ありがとうございます!マイペースに更新していきます! (10月31日 7時) (レス) id: 302ec2dd68 (このIDを非表示/違反報告)
りり兄(プロフ) - 最高です!!まじ応援してます!更新がんばってください…!o(^-^)o (10月30日 14時) (レス) @page37 id: f01e3b9817 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:人造人間名無し号 | 作成日時:2023年8月25日 15時