第三十六話「トゥールルトゥルルトゥールル(徹○の部屋)」 ページ37
とりあえず記憶云々の事については置いといて、気になった事を聞いてみることにした。
「えっと、私ってお二人とはどういった経緯で知り合ったんですかね…?」
「私がね、交通事故に遭いそうになってたところをAさんに助けてもらったのがきっかけなの」
「私が?」
今から数年前。ママ黒さんが交通事故に巻き込まれそうになった所を颯爽と私が助けたのが始まりで、そこから甚爾くんとも知り合い親睦を深めていって定期的に会うほどの仲になったのだそうで。しかしある日を境に私はパタリと姿を見せなくなったとの事。
「少し大きめの仕事しに行くからしばらく来れないって言ってから来なくなったのよね」
「なるほど……」
「もしかして、その仕事のせいで記憶喪失になっちゃったんじゃない?」
違うと思います……!(心の声)
相槌うって話に共感してます風な雰囲気出してるけど、ぜんっぜん違うって思ってますすみません!!だってほんとに記憶が無い!
“仕事”というのは恐らく呪霊討伐の任務の事だろう。だが今から数年前の私は呪霊の呪の字も知らない呪術廻戦未履修別ジャンルどハマりオタクだったはず。てか大前提にトリップで世界線超えてるって点があるし。仮にママ黒さんが言ってることが本当だとしても、どうしてもここに矛盾が生じることになるのだ。
行き詰まってきた思考を誤魔化すように出してもらったお茶を一気に飲み干す。とりあえずこの件に関しては、一旦持ち帰って再度自分で考え直してみることにしよう、と思考を切り替えてママ黒さんに向き直る。
次は二人の知る私について聞いてみる事にした。
「お二人の知る私ってどんな感じでした?」
ママ黒さんは思考を巡らせるように少し視線を宙に泳がすと、ぽつりぽつりと指折り数えるように答えた。
「えっと、明るくて、元気で、いつもはっちゃけてたね!」
「今の私と真逆ですね?????」
それに便乗するように甚爾くんも答える。
「ことある事にゲラ笑いばっかしてたな」
「今聞いてるのって本当に私の事ですよね????」
話を聞く限り今の私とはあまりにも真反対の人物像が浮かび上がってくるのだが???あれ?今聞いてるのって私の話だよな??頭を抱えてぐるぐると思考を巡らせていると、あとね、とママ黒さんが言葉を続けた。
「すっごく優しいの!」
そう言った彼女の笑顔に目を見開いて釘付けになる。
こんな風に思っていただけているのか、彼らの言う“私”とは。
第三十七話「差出人」→←第三十五話「おっきなネコチャ!?!?!?(推定185cm以上)」
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人造人間名無し号(プロフ) - りり兄さん» ありがとうございます!マイペースに更新していきます! (10月31日 7時) (レス) id: 302ec2dd68 (このIDを非表示/違反報告)
りり兄(プロフ) - 最高です!!まじ応援してます!更新がんばってください…!o(^-^)o (10月30日 14時) (レス) @page37 id: f01e3b9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人造人間名無し号 | 作成日時:2023年8月25日 15時