【呪術廻戦】モブ顔オタクのトリップ話 (ページ28)

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第二十七話「死」ページ28

次の瞬間足の一つが解けて腕が伸びてきた。マズいと思ったが避けきれずモロに腹に打撃を食らって後ろに吹っ飛んだ。また壁に打ち付けられた私は血反吐を吐き出す。
目の前が白黒して、あまりの痛さに腹を抱えて蹲る。

「話の途中に割り込んでくるのはご法度ですよ、お嬢さん」

クツクツと噛み殺すように笑う奴に、テメェの話なんざ聞きたくねェんだよこちとら、と怒りが込み上げる。

「貴方にきっとこの子を殺す事は出来ないでしょうね。さっき殴った際に動きが固まっておりましたので」

奴がこちらに指を指すと、芋虫が最前列の足二本を解きこちらに触手のように伸ばす。急いで体制を直していなすように弾く。
その度に体表から「ピギ」「いた」「ヤダ」と泣き声が聞こえて、思わず苦虫を噛み潰したような顔になった。

二列目の足二本を解いてさらに伸ばしてくる。いなす量が倍に増えて段々動きが追いつかなくなってきた。疲労と痛みで身体の動きが鈍った瞬間、四肢を壁に押し付けるように抑えられる。マズいと思った矢先、腹に向かって連打のように拳と踵が飛んできた。上手く腹筋に力を入れられなかった私はダメージをモロに食らって意識が飛びかけた。
痛い。痛い。痛い！痛い！！

攻撃が終わった頃にはすっかり全身の力が抜けてぐったりとしていた。口からは止めどなく血が溢れて出て、足元に血溜まりを作っている。

「おや、もう終わりですか。見たところそこまで強そうな方ではなかったですし、健闘した方だと思いますよ」

遠くの方から奴の声と拍手が聞こえた。
では、と声が聞こえた後、首に手がかかる。
視線を向けると生首を支えていた4本のうち、左右の腕が私の首に伸びていた。
力が入ってきてミシミシと音が鳴る。息が、苦しい。意識してないのに呻き声が漏れ出て、眼球に圧力がかかったような痛みを感じた。

あ……死ぬ……。

心の奥深くで、冷静に考える自分がいた。
生首がゆっくりとこちらに近付いてくる。

なんだよ、そんなに苦しんでる表情が見たいのかよ。くそ。

しぬ、しぬ、し

意識が落ちかけるしゅんかん、なまくびのくちがうごいて、なにかをささやいた。ちいさなこえ。

たしかにきこえた。

「ころして………」