第二十六話「芋虫」 ページ27
身体は芋虫の形状をしているが体表が明らかにおかしい。まるで人間の顔のような模様が数え切れないほど浮かび上がっている。それらはどれも苦悶の表情を浮かべており、口辺りをはくはくと動かしていた。人間の手足が複雑に絡み合って太い柱のようになっていて、それが何十本も足のように生えていた。
身体の先頭辺りから4本の腕が生えており、それらは一つの生首を上下左右から支えるように持っていた。生首はおそらく男性のもので、頭髪は全部刈り取られ両の眼は左右逆方向に向いていた。
我慢できなくなった私は吐き戻した。喉を異物が通るような不快な感覚、ビタビタと床に散らばる吐瀉物、周囲に広がる酸っぱい匂い。
そんな私を放っておいて奴は勝手に語り出す。
「ワタクシは人間を虫のように進化する生き物にしたいのですよ。幼虫、蛹、そして成虫。貴方は蝶を見たことありますよね?あの美しさ!素晴らしいと思いませんか!人間にも蝶と同じようになってもらいたいのですよ!!人間はいつまでもこの形に留まらず!蝶のように!進化すべきなのです!!!」
奴は両腕を広げ、まるで演説するかのように、こちらに訴えかけるように話を進める。
「この子はその第一歩なのですよ。だいたい100人ほど使用させていただいてます。いやはや、この子にたどり着くまでにとっても苦労しましたよ!形を保っていられなかったり、死んでしまったりしてしまって」
絶句した。ひゃくにん……?このくだらない実験とやらに、100人もの犠牲者を出したのか???しかも話を聞くに、コイツを生み出す前にも犠牲者はかなり居たようだ。
100人所じゃねえ、それ以上じゃねェか!
何が四級案件だよ、それレベルじゃねェだろうが!!
気が付くと私は奴に殴りかかっていた。拳を握りこみ、勢いよく振りかぶる。
が、しかし私と奴の間に芋虫が入り込んで拳が弾き返される。体表の顔達が小さく鳴いた。
「ぃたい」「いたぃ」「いた…」
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人造人間名無し号(プロフ) - りり兄さん» ありがとうございます!マイペースに更新していきます! (10月31日 7時) (レス) id: 302ec2dd68 (このIDを非表示/違反報告)
りり兄(プロフ) - 最高です!!まじ応援してます!更新がんばってください…!o(^-^)o (10月30日 14時) (レス) @page37 id: f01e3b9817 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人造人間名無し号 | 作成日時:2023年8月25日 15時